「開かれた市政をつくる市民の会」 −市民と共にすすめる鳥取市政を!−




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・「鳥取市の財政・組織・選挙」


  11/18(日)鳥取市議選の結果について分析。(2018.11.23)

 史上最低の投票率41.68%に終わった先日の鳥取市議選。与野党の勢力図としてはほぼ変わらずというところでしょうか。得票数を会派別に集計しなおして見ると、いろいろな傾向が見えてきました。

 下に、先回2014年の結果(投票率52.96%)と今回の結果について、個々の議員別得票数及び会派別の合計得票数の変化を示します。多くの立候補者は無所属で出馬していますが、現職議員についてはそれまで属していた会派に分類しました。新人の当選者については、既に特定会派に所属する予定であればその会派に分類。今回当選した三名の無所属議員については、いずれも会派新生に入る見込みとの情報を得ています。先回の市議選も含め、落選した議員で所属予定の会派が不明の場合には、無所属のままとしました。

    
    

 この結果を見て言えることを以下に述べます(敬称略)。

 @有効投票総数は先回の市議選に比べて約1万7千弱減少。減少分うち、与党の会派新生が約9千、野党に回ることが多い結が約5千、無所属が約3千5百を占める。

 A組織力の強い公明党、共産党、さらに連合推薦候補の一部については、今回の低投票率の中でむしろ票を伸ばしている。

 B会派新生が大きく票を減らした理由は、引退したベテラン三議員の代わりに当選した新人三名の得票が著しく低かったこと(前回の最低当選得票1486にさえも未達)、及び二期目の議員の多くが得票を減らしたこと(いわゆる二期目のジンクス)にある。今回が二期目の議員六名のうち、票を伸ばした議員は雲坂、魚崎の二名のみ、西村、星見、吉野、横山の四名は先回よりもかなり票数を減らした。一方、公共企業関連業界からのいわゆる業界票に大きく依存している会派重鎮の上杉は、先回よりもさらに票を伸ばして連続トップ当選を果たした。先回落選した加藤が今回大きく票を伸ばした背景には、自民推薦を得たことで地元の保守層からの期待票が集まったことがあるものと推測される。

 C学会員の高齢化に伴って近年は選挙ごとに得票数を減らしている公明党だが、今回は若干増と健闘した。引退した議員の票数が新人候補にそっくり引継ぎされている所に、その組織力の強さがかいま見える。

 D結については、七期をもって引退した橋尾の穴を埋めることができず、二期目の米村も大きく票を減らした。従来の四名から三名となって代表質問の権利も失われ、会派としての存続に疑問符が付く状況となってしまった。

 E久しぶりに四名の候補者を立てた共産党は、荻野の票が予想外に伸びなかったものの、念願の全員当選を果たした。これで四つの常任委員会の全てに議員を送り込むことが可能となり、代表質問の権利も得た。

 F市民フォーラムでは、秋山が大きく票を伸ばした。同じ気高町から出ていた下村の引退がプラスに働いた可能性がある。

 G無所属では、椋田、太田が健闘した一方で、二期目の足立が大きく票を減らした。今回落選したのはこの無所属の三名のみだが、いずれも選挙戦への熱意には疑問符が付く活動内容であり、獲得票数もわずかにとどまった。

 ・「まとめ」

 日本の地方自治体の政治では二元代表制が採用されており、首長と議員は各々が直接に選挙で選ばれ、議員は首長が提出する政策の内容を監視することが期待されています。しかし、現在の鳥取市政では、与党三会派(会派新生、公明党、市民フォーラム)が市長提出議案にほぼ100%賛成し続けていることにみられるように、この監視の仕組みが全く機能していません。今回与党入りする予定の新人議員四名には、ぜひこの議員本来の責務を思い起こして、住民の側に立って市長の政策を監視し続けていただきたいものです。安易な道に流れて、後で「市会議員に就職した人たち」などと市民から揶揄されることのないように頑張っていただきたい。

 結果的には与野党の勢力分布はほぼ変わりませんが、引退した橋尾氏は市庁舎新築問題で市側と対立したとはいえ基本的には保守系の方であり、替りに共産党新人が一人入ったことで、市長の政策に対する監視機能が今後強化されることが期待されます。

 労組推薦の候補五名(足立氏は市職労出身、連合の推薦候補でもある)が当選しましたが、上の表に示すように所属する会派がばらばらなのは、現在の国政の状況そのものの反映に他なりません。「労働者の味方」の勢力がこんなに四分五裂しているようでは、選挙の際に訴えている政策がまともに実現するのか大いに疑問です。

 さらに、これら五人の候補ともに、選挙公報やしおりでは「働く人や弱者のために頑張る」と訴えていましたが、はたして本当に頑張っているのでしょうか。一例を挙げれば、鳥取市職員の約五割は既に非正規職員となっており、この非正規比率は、おそらく人口が同規模の自治体間では国内で一、二を争う最高レベルにあるものと推測されます。非正規市職員の年収は正規市職員のそれの1/2〜1/3程度に過ぎません。長坂、秋山、足立の三氏は市長政策の大半に賛成し続けてきましたが、彼らが本当に社会的弱者の見方であるならば、なぜ非正規市職員の増加を食い止めるために頑張らなかったのでしょうか?

 四年に一度の市議選が、「実際には実現できないし、元々実現する気もない、キレイごとの羅列」を叫ぶだけで終わらせるわけには行きません。市長政策を監視するという議員本来の役目を果たしているのかどうか、我々市民も個々の議員のこれからの実際の活動を監視し続けていくことを是非忘れないでいただきたいと思います。

/以上


  各議員の四年間の質問回数も調査しました。(2018.10.22)

 鳥取市議会現職各議員の重要議案での賛否に加えて、本会議場での四年間の質問回数についても調べてみました。一部のチラシには既に載せていますが、改めてこの場で公開しておきます。市公式サイトの「鳥取市議会会議録」から拾った数字に基づいており、一般質問回数に加えて市長提出議案、議員提出議案、意見書等に対する質問回数も含めています。要するに、各議員の発言で質問と名の付くものはすべてカウントしています。中には若干の数え落とし(1,2件程度)があるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

 この四年間では以下の四名の与党議員、房安、下村議員が議長職、金谷、田村議員が副議長職を務めています。議員からの質問を市執行部に振り分ける職責上、当然ですが、質問回数は少なくなっています。

 以下、注目点を列挙します。

・ 「無所属」の吉田議員の質問回数が四年間でたった一回とは、あまりにも少なすぎる。これほどまでに質問回数が少ないようでは、「市民の代表者であるはずの議員としての責任」を御本人が自覚しているのかどうか、大いに疑問である。

・ 一年間で本会議が四回(2月,6月,9月,12月)開催される。四年間の本会議で毎回一般質問をしていれば合計で16回質問することになる。一般質問の回数が全議員の人数よりも少な目に設定されているらしく、一般質問のみを行っている議員の質問回数は、たいていは最大で15回となっている。

・ 質問回数が15回を大幅に超えている議員については、一般質問以外に、市長が提出してくる予算案、条例案、他派議員が提案した議案等の内容についての質問もカウントしている。この種の質問をするためには、市側や他派議員が提出してきた議案に対して臨機応変に対処して自分の意見をぶつける必要があるので、一般論ではあるが、議員としての能力の高さに比例する傾向を示していると思われる。

・ 与党の「会派新生」では、当選一、二回目の議員(山田議員以下)の大半が質問回数15回となっている。おそらく同会派では、年長議員の強力な指導のもとに各議員に対して質問回数のノルマが課せられているのだろう。

・ 一般質問の回数が同じあっても、その個々の質問の内容は議員によって雲泥の差がある。市長提出の案件を厳しく問いただす議員の一般質問では、市側担当者とのやり取りが数十往復に及ぶことも多い。一議員当たりの質問時間が制限されているので限界はあるものの、各議員には議案の細かな点を何度も問いただして、市民負担を減らすべく奮闘してほしいものである。

・ 一方で情けない質問者の例としては、一般質問の内容が単なる事実確認にとどまり、質問しては市側の回答を得るたびに「はあ、そうですか」と言うだけ、数往復の質問だけで終わってしまう議員が数多くいる。事実の確認は本会議の前に市の担当者にあらかじめ聞いておけば済むことであり、わざわざ本会議場で質問する必要は全くない。本会議の時間は、あらかじめ入手した事実確認を元にして自説を展開し、市側の議案の問題点を指摘するために使うべきである。自分の意見を持っていない議員が、質問件数を稼ぐだけのために、事実確認程度の無内容な質問を本会議場で連発しているとも受け取れる。

・ 一例を挙げれば、与党「会派新生」の当選一回目の某議員。四年間に15回の一般質問を行ったが、一回の質問での市側とのやり取りは多くても9往復、少ない時にはたったの2往復、平均で6.3往復であった。その質問内容のすべてが、最初から市側提案に賛成の論調の中での既成事実の確認に終始していた。おそらく質問する前から、某議員と市担当者との間では、本会議場でのやり取りのあらすじがあらかじめ出来上がっていたのだろう。片山善博前鳥取県知事が「大半の議会は(小学校の)学芸会」と評した実例にほかならない。

・ 鳥取市民は、市会議員が市長提案議案のチェックを行うことを期待して、日夜苦労して納めている税金の中から議員一人当たり年間約800万円の報酬を支払っているのである。我々は、いい年をした大人が市議会で演じる学芸会を見たいがために税金、公共料金、各種手数料を市に支払っているのではない!自ら市政をチェックする機会を放棄しているような議員は、この報酬を受け取るには値しない。

 各議員の本会議場での過去の質問内容については、上で紹介した「鳥取市議会会議録」で詳しく確認することができます。あなたが11/18に投票を予定している議員が、あなたの貴重な一票を投じるにふさわしい活動を今までしてきたのかどうか、このサイトで過去の発言の一部始終をチェックされることをお勧めしたいと思います。

/以上


  11/18(日)は市会議員選挙の投票日です。(2018.10.17)

 鳥取市の市議選が告示日11/11(日)、投票日11/18(日)の日程で行われます。当会では、この四年間の市庁舎新築移転、上下水道料値上げ、巨大可燃物処理場新設等の主要議案に対する現職各議員の投票結果の一覧表を作りました。候補者選定の参考にしてください。
 当会ではこの表をチラシにして、今週から告示日までの約三週間、市内各戸に配布する予定です。下にチラシの内容を示します。なるべく多くの世帯に届けたいので、配布を手伝っていただける方は当方までご連絡ください。ご近所、または知り合いの方に、少しの部数でも結構ですので配っていいただければありがたいです。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。



(← クリックするとPDFファイルが開きます)











平成の大合併後に各支所の職員数は激減、新市域からは強い不満の声。(2018.2.8)

 一昨日掲載の記事で鳥取市職員数の推移について述べましたが、この機会に各支所別の職員数の変化も紹介しておきましょう。下のグラフに2004年の合併前後と2005年以降の各支所の職員数の推移を示します。



 2004年の合併直後に各支所の職員は大幅に削減されました。削減職員数は総計451名、合併直後に支所に残った職員は合計292名でした。2005年以降も毎年徐々に削減されて、現在の合計は合併直後の約半分の149名でしかありません。今年度の各支所ごとの配置職員数は、国府19、福部17、河原21、用瀬17、佐治17、気高20、鹿野18、青谷20。

 旧鳥取市に合併された新市域の住民からは、様々な不満の声が上がっています。

 @:「以前は役場に行けば顔なじみの職員が声をかけてくれたものだが、今では支所に行っても知らない顔ばかり。来訪者の顔を見ようともせず、パソコンの画面ばかりにらんでいる。なかなか相談に行く気になれない。」

 A:「地域のことを全然知らない職員がやって来るので、地域の地理も、地名も知らない。せっかく覚えても、三年ほどたったら他所に異動して行ってしまって別の新顔の職員がやってくる。こんなことでは、いざ災害が起こった時には支所の職員は何もできないのではないか。」

 B:「支所には権限が無く、何事も市役所の本部に伺いを立てて決裁している。時間がかかって仕方がない。」

 C:「鳥取市との合併後は行政のサービスが低下する一方。こんなことなら合併しない方が良かった。」

 これだけ地域に配置する職員が減ったのでは、行政サービスが低下するのも当然でしょう。今後もこんな鳥取市政が続くのでしょうか。新市域の住民は、あきらめるほかはないのでしょうか?

/以上


鳥取市職員中の非正規職員の割合、ついに50%超え!(2018.2.6)

 鳥取市職員の中の非正規職員の割合は毎年増加し続けていましたが、今年度はついに全職員中の半数を超える事態となりました。日本全国の勤労者中の非正規職の割合が約四割にまで増加して社会的な問題となっていますが、我が鳥取市役所は日本の最先端を走っていることになります。厚生労働省が公表した「非正規雇用の現状と課題」の5ページ目を見ると、40代以降では、非正規労働者の時給は正規労働者の約半分でしかないことが判ります。鳥取市職員の中での格差が年々増大しているのは間違いないことでしょう。


  左に平成の大合併以降の鳥取市職員数(各年の4/1付け)の変化を示します。鳥取市の人口は、2005年/12月に201,319人であったものが、2017年/12月には189,799人と約5.7%も減少しているのですが、この間の市職員の数は約2500人のままでほとんど変化していません。

 棒グラフの灰色で示した部分が正職員。それ以外の色は非正規職員です。赤の点線で示したグラフは全職員中で正職員の占める割合を示しており、大合併翌年の2005年に62.7%であった比率は、昨年2017年には49.8%にまで低下しています。

 次に、鳥取市の非正規職員の実際の待遇の内容も確認しておきましょう。上の棒グラフの中の緑色で示した区分「任期付短時間勤務」は2013年度の採用から保育士枠用として新設されたものです。市の各年度の保育士採用結果の推移を下に示します。青い枠は正規職の保育士、赤い枠が非正規の保育士であり、内側が白い棒が当初の採用予定数、棒の内部が青と赤に塗られているのが実際の採用数です。

 2013年から非正規の保育士を一気に百人近い数で募集し始めたことが判ります。当初は採用予定数を上回る非正規保育士数を採用していたものの、各産業の人手不足が深刻になり始めた2015年以降は採用予定数に届かない人数の確保に留まっています。一方、待遇が良くて応募倍率も高い正規保育士の場合には、ほぼ毎年のように予定数を上回る人数を採用しています。



 臨職保育士の採用が最近不調なのは、単純に給料が安いからです。今年四月から勤務する臨職保育士限定の受験案内によると、税引き前の給与は年齢に関係なく月に約14.2万円であり、三年間の任期中の昇給もありません。期末手当が付くとはいえ、これでは社会保障費・税引き後の手取り年収は200万円にも届かないでしょう。独身者では自力で生活するのも困難であり、配偶者があっても二人とも非正規の場合には子どもを持つのもなかなか大変なはずです。必要な人数すら確保できていない現状なのに、週31時間に制限している勤務時間を市当局はなぜ増やそうとしないのか、実に不思議です。

 一方、正職員の保育士の待遇についてはどうでしょうか。保育士に限定した統計は見当たりませんが、正規の鳥取市市職員の平均給与(期末手当等も含む)は鳥取県職員よりもさらに高く、44才で月に約40万円です(「鳥取県内市町村給与の比較」より)。保育士には女性が多いのでこれよりは低いでしょうが、
鳥取市の正規保育士の給与は非正規保育士の二倍から三倍の範囲にあると推定されます。鳥取市職員の職場では、わが国の総理大臣が一年ほど前にさかんに唱えていた「同一労働同一賃金」とは正反対の方向に向かって進んでいるのです。さらに、これだけ待遇に差がある労働者が同じ職場でさほど内容に差が無い仕事をしていれば、職場の雰囲気は当然のことながら悪化するでしょう。預けている子供たちへの悪影響が出てくるかもしれません。

 先月の1/28に「編集者ブログ」でも紹介しましたが、年収が低い人が子供を持たない傾向は、日本では他国に比べて際立って強いのです。他の国の人々が子どもを持つ割合は、あまり年収には関係していません。今の鳥取市が、自ら非正規職員を増やすことで、市内の少子化をさらに加速させていることは明らかです。子育ての充実を叫んで臨職保育士の数を大幅に増やす政策自体、皮肉にも、若い女性が多いであろう臨職保育士のような層の子育て意欲を逆に大きく削いでしまう結果となるでしょう。

 臨職保育士の大幅採用を始めた2013年は竹内前市政の最終年でした。その竹内氏が自分の後継者に指名した深澤現市長は、上の二つのグラフに見るように、竹内氏の政策をただひたすらに忠実になぞっているだけです。前市長と現市長の政策には何でも賛成した市議会与党議員にも鳥取市の現状に対する大きな責任があることは明らかです。今年三月末予定の市長選、今年十一月に予定の市議会議員選で、かれらはこの四年間の自らの成果として「子育て支援」を声高に叫ぶつもりなのでしょうか?もしそうだとしたら、偽善者と呼ぶ以外には彼らを形容する言葉が見当たりません。真の「子育て支援」とは、市内の勤労者内に既に存在している格差の是正にほかならないのです。

/以上


・6/11に第一回学習会「鳥取市の財政の問題点」を開催しました。 (2016.6.22)

 6/11(土)に遷喬公民館において、当会主催で第一回の学習会を開催しました。約30名弱の市民が参加し、二名の報告者の報告の後で活発な議論が交わされました。当日の報告のうち、当会からの報告分を以下に掲載します。以下の内容は当日の報告に説明を若干加筆したものです。図とグラフは当日使用したものと同一です。

 なお、この資料の中では、「合併特例債の市負担分は最低の場合でも全事業費の33.5%」と説明していますが、今回の学習会に参加した市民からは、「住民投票の前の時点で、市の担当職員からは、『合併特例債を使えば市の負担はほとんどゼロになる』との説明を受けていた」との声がありました。これが事実であるとすれば、実に許しがたいことです。公務員が市民に対して公然とウソをつくという行為は、地方公務員法の第30条「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する義務」、第29条「職務上の義務に違反した場合は懲戒処分」に該当し、処分の対象になります。

 「合併特例債の問題点とその影響(PDF)

 この報告内容に見るように、国が地方交付税に加算して市を支援するとの約束のもとに市が過去に行なった借金の返済額は、既に年間で約50億円程度までに達しています。しかし、国はこの借金返済額に見合う分だけの地方交付税増額を全く実施していません。それどころか、今後さらに、地方交付税は大幅に減額されることが必至の情勢です。この結果、地方交付税の中で市が自由に使える財源は、平成26年度時点で十年前に比較して、すでに約20億円減少しているのです。この借金の大幅増加による市財政の窮乏化が、今秋に予定されている下水道料金の14.6%もの大幅値上げ等として、市民負担の増加を招いているのです。

 私たち「市民の会」は、巨額の費用が発生する市庁舎新築移転は将来の市民負担を増大させるものだとして、強く反対して来ました。私たちが主張してきた「現庁舎耐震改修案」は、二年前の市長選で、住民投票の結果を無視して「新築移転案」を強引に推進した竹内前市長の後継指名を受けた現市長に対して、「新築移転案」の見直しを掲げた二人の候補が、二人の合計得票数では圧倒的に勝っていたにもかかわらず僅差で敗れたことで、その実現が阻まれました。さらに、一年半前の市会議員選挙の後で、秋山議員が選挙時の公約を破棄して「新築移転案」に寝返ったことで、市庁舎新築移転の条例が可決されてしまいました。

 現在は新市庁舎の設計段階にあり、市庁舎新築の建設費用が実際に発生するのは来年度以降です。にもかかわらず、鳥取市財政の財源難がすでに深刻化していると言う事実は、新庁舎完成後はその借金返済のために市財政のさらなる窮乏化は明らかであることを示しています。このまま進めば、下水道料金の値上げのみにとどまらず、さらに今後、水道料金、市施設使用料金やゴミ収集料金等の各種手数料、市営住宅の入居費等の値上げが必至となるでしょう。固定資産税、企業に対する法人市民税、軽自動車税などの税率は市の判断で税率を独自に決めることができるので、これらの税金も上がる可能性があります。

 このように、市財政危機が目前に差し迫っていることは明らかなのですから、深澤現市長には、前市長からの呪縛をはなれて、今すぐに大きな決断を下していただきたいと思います。安倍総理も、一年半前には「今度という今度は絶対に消費税増税は延期しないと約束する」と国民に対して約束していましたが、今月初めには記者会見まで開いて「これまでの約束とは異なる新しい判断」によって消費税増税を二年半先に再延期すると表明しました。日本国の総理が大見得を切って全国民に約束したことを簡単にホゴにするのですから、一地方都市の首長が前首長に対して約束したことをホゴにすることなど、どうってことはありません。

 むしろ、「目前に迫った財政危機」を寸前で回避した大英断を実行した人物として全市民から感謝され、後世の市史では名市長として讃えられることになるでしょう。ぜひとも、「新しい判断」の元に「市庁舎新築移転案」を放棄し、四年前の住民投票で市民の支持を得た「現庁舎耐震改修案」を全力で推進していただきたいものです。

 /以上


市政を考える講演会「鳥取市の財政状況と今後の課題」を開催しました。
   (2014.09.22)

 9/13(土)にとりぎん文化会館において、当会と「市庁舎新築移転を問う市民の会」共催で鳥取市の財政状況に関する講演会を開催しました。講師は鳥取大学地域学部の藤田安一教授。市の財政に関する豊富なデータにもとづいた、ていねいでわかりやすい講演内容でした。
        
 約220人の市民が参加。満席で急きょ補助椅子も準備。 「これから借金の大返済時代が始まる」と藤田先生が熱く語る。

 十年前の周辺町村との合併の際、「人が輝き まちがきらめく 快適・環境都市 鳥取」のスローガンの元で合併が進められ、二十万人都市が誕生しました。それから十年後の現在、このバラ色のスローガンとはうらはらに人口の流出が止まりません。数年後には鳥取市の人口は十九万人を切ると予想されています。経済は低迷し続け、行政による市民サービスも低下。特に、合併した旧町村の衰退ははなはだしいものがあります。
 講演会に参加されなかった方も、藤田先生が当日配布された資料を以下に掲載しますので、熟読されて市財政の現状を把握していただければ幸いです。


   ・資料1 「鳥取市の財政状況と今後の課題」(PDF)
  ・資料2 「鳥取市財政に関する資料」(PDF)
  ・資料3 「別紙資料−鳥取市における税および住民サービス負担の推移」(PDF)

 これらの資料から、今までの鳥取市政がどのような内容であったかがよくわかります。例えば、資料2の四枚目(右上に書いてあるページ番号は7)には、鳥取市職員数の推移が載っています。この表をグラフにしてみると左下のようになります。

 平成16年11月に合併した直後の平成17年(2005年)には正職員数は1551名でした。九年後の今年平成26年(2014年)には正職員数は1289名となり、262名減少しています。

 一方、職員数全体は約2500名とほぼ一定なので、約260名の正職員が非常勤や臨時の職員、いわゆる「非正規労働者」に置き換えられたことになります。その増加が全国的に深刻な社会問題になってきている非正規労働者が鳥取市職員に占める割合は、市の全職員の約半分にまで増加しています。

 鳥取市の正職員の昨年度の平均給与は年間で一人当たり482万円です。(県サイト:「県内市町村の給与」より)

 一方、非常勤・臨時の市職員の大半は、税金や保険料等を天引きした後の手取りで月に十万円を少し超える程度でしょう。大半の非常勤・臨時の市職員の人件費は、正職員の人件費の半分以下であり、実質は3〜4割程度ではないかと推定されます。

 同じ職場に居て正職員と同じような仕事をこなしているのに、「自分にはボーナスも出ない、昇給も無い」、「給料は正職員の半分以下」という立場であったら、皆さんはいったいどんな気持ちになるでしょうか?ちょっと想像してみてください。
 大半の人は、みじめな気分や、誰かに怒りをブツけたい気分になり、「もう、やってられない!」と感じることでしょう。労働意欲が高まるはずもありません。こんな状態では、市民への行政サービスの向上はとても期待できません。

 この市職員数の内容の推移を見て感じるのは、「
鳥取市みずから、市民のあいだの格差の拡大を助長している」ということです。ワーキングプアへの入り口となりかねない非正規労働者を、鳥取市自らが九年間で約260名も増やしているのです。
 世帯の中でほかに働く人がいない場合、月十万円程度の手取り収入で子供を育てるのは、きわめて困難です。今の鳥取市は、「子育て支援と雇用状況の改善については、最優先で取り組みます!!」と朝から晩まで大声で宣伝しているが、自分たちが市役所の中で実際にやっていることは、言っていることとは正反対なのです。

 駅前のバードハットを建てるのに、鳥取市は12億円を使いました。あんなものを建てないで、例えばそのカネを非常勤職員の待遇改善に使っていたらどうだったでしょうか?非常勤職員の人件費が一人当たり年間200万円であると仮定した場合、12億円あれば、人件費がそれまでの1.5倍の年間300万円に待遇が改善された非常勤職員約120名を、十年間雇用することができたのです。
 非常勤職員の待遇改善に使った費用の大半は市内で消費されるでしょうから、その分だけおカネの循環が生まれて市内の経済が活性化されます。一方、ハコモノ建設に使った費用の多くは東京や大阪のゼネコンに吸い取られてしまい、地元の業者に落ちるおカネはわずかです。

 現在問題になっている市庁舎新築移転のために使う費用は、最近の資材と建築業界の人件費の高騰を考慮すれば、百億円を軽く超えることになるでしょう。少なくともあのバードハットの約十倍の負担になります。これだけのカネがあれば、市の非正規職員のほぼ全員の約1200人の人件費を年三百万円に改善して十年間雇用することができるのです。たくさんの笑顔に、今よりももっと数多く出会えるようになるのです。
 市庁舎新築移転という事業を本当に実施して、いったい誰が得をするのでしょうか?得をするのは特定の業界に関係する一部の人間だけであり、大部分の市民はそのツケを将来負担する側になります。

 竹内前市長の十二年間の鳥取市政はハコモノ建設にきわめて熱心であり、市民から集めた税金を自分の選挙目的で特定業界に優先的に回してきました。その一方で、市内の雇用条件の悪化と格差の拡大を放置するだけにとどまらず、自ら格差拡大をおし進めて来たことが、上のグラフひとつを見てもよくわかります。

 藤田先生が提供された資料をよく読んでいただき、市政の現状について新たな発見をしていただきたいと思います。

/以上





鳥取市職員の給与は高止まりが続く! 鳥取市民は収入減で苦しんでいるというのに!!
 
(2014.04.02)

 鳥取市職員の平均給与は、鳥取県職員のそれよりもかなり高いと言われています。それがどの程度なのかを調査してみました。また、県内の(民間)勤労者の平均給与とも比較しました。調査方法は次の通りです。

 @ 出典資料は県総務部HP、市HP、総務省HP。(一例:平成25年度の県内市町村の給与
 A 県、市の職員の平均年間給与は、一般行政職の各年度の月間給与総額(給料+期末賞与+各種手当)を12倍して計算。
  県内勤労者の平均年間給与は、県地域振興部統計課の毎月勤労調査から、従業員五人以上の事業所について年度ごとのデータを抽出して県内平均年間給与とした。なお、この県の勤労調査では調査対象は「一般公務を除く」としているので、いわゆる民間企業のみを対象としているものと思われる。(鳥取市内の民間給与水準については後述。注1)

 結果を下のグラフに示します。
 各給与の比較 

 さらに、特定の年度での給与金額と変化率(低下率)の具体的な数字を次の表に示します。なお、県職員の平均値は現在の公表内容となった2007年から今までの範囲に限定しています。

年間給与区分   給与金額(万円)   給与低下率(%)  
 2005年度 2007年度  2013年度 
 県内平均  346.0  331.8 307.9   -11.0 (2005→2013)
 -7.2 (2007→2013) 
 鳥取市職員平均  503.7  506.2 481.9    -4.3 (2005→2013)
 鳥取県職員平均  -  486.4 464.7   -4.5 (2007→2013) 

 この調査結果からわかることは、次の事実です。

 (1)  昨年度2013年度の給与金額は、鳥取市職員のほうが県職員よりも約17万円高い。比較可能な2007年から2013年
   までの期間のほとんどで、市職員給与は県職員給与を上回っている。

 (2) 県内平均給与と、市、県の職員の給与の差はきわめて大きい。例えば、市職員は県内平均に比べて、2005年度
   では1.46倍、2013年度には1.57倍ももらっている。その差は年々拡大し、2005年には158万円の年収金額差で
   あったのが、2013年には174万円にまで拡がっている。
 

 (3) 2005年から2013年までの8年間に、県内平均給与は約11%も減少した。同じ期間に市職員給与は約4%、県内平均
   給与のほぼ3分の1しか低下していない。

 (4) 2008年秋のリーマンショック後に市内の大手事業所の閉鎖が相次いだ。県内平均給与も2009年以降に急低下した。
   しかし、市職員給与は低下するどころか、逆に2011年には、今回データを集計した範囲での最高値(506.8万円)
   を記録している。
2011年度は東日本大震災が発生した直後であり、日本中が「これから日本はどうなるのか、この
   ままやっていけるのか?」と不安に思っていた時期でもある。こんな時に、鳥取市は「わが世の春」とばかりに
   職員に大盤振る舞いをしていたのである。県はリーマンショックもありさすがに民間に配慮したのか、2009年以降は
   民間よりは低下率は少ないものの少しずつ給与を下げている。唯一、鳥取市役所の中だけが「リーマンショック?、
   大震災?、ソレッて何?」と言う感じである。

 筆者は県内の民間企業でずっと働いて来ましたが、県内民間と公務員の間にこれほどまでに大きな給与格差があるとは予想もしていませんでした。今回調べてみて、まさに「目からウロコ・・」と驚いたのが実感です。市職員が、民間企業で働いている人よりも1.5倍の仕事量をこなしているとか、1.5倍も付加価値の高い内容の仕事をしているとは、到底思えません。したがって、少なくとも鳥取県内では、市や県の公務員は既に特権階級化しているか、現在、そうなりつつあることは明らかです。

 しかも、特に鳥取市職員の場合には、2008年のリーマンショック後に市民が失業や収入減に直面して苦労している時にも、ノウノウと過去最高額の給与をもらっているのです。市民の窮状への配慮はカケラも見られません。まさに特権階級そのものです。さらに、彼らがもらっている給料のうちの多くの部分は、我々が苦労して納めている市民税や公共料金から支払われていることを思うと、「腹が立って仕方がない!」と感じるのは私だけでしょうか?

 公務員の本来の職務である「市民サービス」を第一に考えているのであれば、鳥取市職員労働組合(市職労)は市民の窮状を考慮し、自主的に給与カットを提案するなどして、各種公共料金等の市民への負担を減らすのが当然です。市職労とは、自分たちの特権を守ることしか考えていない、本当になさけない集団であることがはっきり判ります。

 市職員給与をこのように県内民間とかけ離れた水準のままに放置し続けたのは、明らかにこれまでの十二年間の竹内市政の失政です。市長は何のために、このように市職員をずっと甘やかして来たのでしょうか?
 前副市長の選挙陣営には、陰でたくさんの市職員が参加していると言われています。このような時に市職員に働いてもらうための過去の高待遇だったのではないでしょうか? 市職員は、今まで保障されてきた自分たちの特権的な給与をこれからも維持したいがために、自分たちの仲間の応援に必死になっているのではないでしょうか?

 ご存知のように、公務員の政治活動・選挙運動には国の法律によって大きな制限が課せられています(後述、注2)。市職員の法律に違反する行為を見逃すことのないように、市民みんなで監視しましょう。


 (注1):鳥取市内に限定した民間平均給与のデータは見つけられませんでしたが、最近の経済状況を見れば、鳥取市内の平均給与の減少率は県全体の減少率よりもかなり大きいものと予想されます。
 実際に最近の鳥取ハローワークの求人内容を見ると、看護師、薬剤師、建設技術者等の特定の資格を持たない一般の事務職や工場内での作業職の場合、フルタイムで働いても税込で十五万円を切る例が大半になってきたのが、現在の鳥取市の給与レベルです。数年前までは、このような一般的な職業でも税込で二十万円を超える求人がかなりありましたが、現在は皆無です。


 (注2):地方公務員の選挙運動は、地方公務員法第三十六条第二項に定めるところにより、大きく制限されています。例えば、鳥取市職員が、鳥取市内で行われる全ての選挙において特定の人への投票を勧誘すること、又は特定の人に投票しないように勧誘することは法律で禁止されています。 (参考:地方公務員法
 また、公務員がその地位を利用して選挙運動を行うことも、公職選挙法第百三十六条第二項により禁止されています。
 (参考:公職選挙法
 法律に違反する行為が行われているのを見聞きした市民は、警察に通報する義務があります。

/以上
 
 「開かれた市政をつくる市民の会」連絡先        mail: mailto@sustainabletori.com
 住所:〒680-0051 鳥取市若桜町39       電話:090-8247-5488