「開かれた市政をつくる市民の会」 -市民と共にすすめる鳥取市政を!-



「開かれた市政をつくる市民の会」事務所:〒680-0051 鳥取市若桜町39(ロゴス文化会館3階) 
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 毎週土曜日の午前中(10h~12h)に、当会事務所で当会会員も参加して市民懇談会を開催しています。鳥取市政に関心のある方なら、どなたでも参加OK!  お気軽に御来所ください。今の鳥取市政への提言など、何でも自由に語り合いましょう。 

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 ・更新履歴 
  2021/10/20 トップページに「旧本庁舎活用に関する当会の見解」の記事を掲載。
  2020/11/07 トップページに「旧本庁舎跡地活用に関する市民ワークショップへの参加報告」の記事を掲載。
  2020/11/07 トップページに「旧本庁舎跡地の無料駐車場としての活用の提案」の記事を掲載。
  2020/09/04 トップページに「避難所に関する質問状への市長回答」の記事を掲載。
  2020/07/22 トップページに「公開質問状への市長回答について」の記事を掲載。

・新着情報

「旧本庁舎跡地活用」に関する当会の見解 (2021.10.20)

 先日の10/12、旧市庁舎跡地の活用方法に関する専門家委員会からの提言が深澤市長宛てに提出されました。
 「旧本庁舎跡地活用に関する提言書」

 その内容によると、同委員会から提案された活用案は優位性の順に、

  (a)「防災機能を兼ねた緑地公園」
  (b)「憩いの場としての屋内施設を併設した緑地公園」
  (c)「市民が自由に使える屋内施設」
  (d)「教育・文化機能を持つ多目的ホール」

の四つでした。今年二回実施された市民アンケートの結果を主体としているものの、全体的には専門家委員会としての独自の見解が全く見えない玉虫色的な内容に終始したと評さざるを得ません。

 当会は、市の財政状況を踏まえれば、当面は建設物を含まない公園等のオープンスペースを主な選択肢とするしかないと考えてきました。その点では予想通りの提言内容となりましたが、現在の鳥取市の急激な人口減少の状況を踏まえれば、より具体的に踏み込んだ活用策を計画すべきと考えます。以下、この跡地活用問題に対する当会の見解を説明します。
 なお、昨年来のコロナ禍で市財政はさらに窮乏化しており、上にも述べたように当面は跡地への新規の公共施設の建設は無理な状況と考えます。従って、現時点で実現可能な上記の (a)案に絞って、以下でその問題点を見ていきます。


(1)現時点で主要な案とされている「防災拠点を兼ねた緑地公園」案の問題点

  ①「従来の「二核二軸」構想との整合性は?」

 2018年からの五年間の計画として内閣府の認定を受けた「第三期鳥取市中心市街地活性化基本計画」では、従来と同じく「鳥取駅周辺地区と鳥取城跡周辺地区を核とし、その2つの核をつなぐ若桜街道と智頭街道を軸とする、二核二軸を中心とした約210ha」を計画の対象地域としている。しかし現状は、二軸であるべき若桜街道と智頭街道は時の経過とともにさびれるばかりである。
 特に前者については、市本庁舎が駅南へ移転した後は人通りが急減、駅の近くを除けば、文字通り「シャッター通り」と化してしまっている。この点については、以下の(2)「旧市庁舎跡地周辺の急速な人口減少が止まらない」で詳しく分析する。

 現在、跡地を緑地公園として整備する方向が有力だが、果たして、それだけでこの中心市街地活性化基本計画がうたう「広域から人々が集い、賑わいや活力、交流」が生まれるのか、大いに疑問である。

  ②「隣接する市民会館とあわせた活用策が見えない」

 2010年に大規模改修を完了した市民会館は今後も引き続き利用されるはずだが、市本庁舎跡地と併せた活用策の検討が不十分である。市民会館の活用案と共に、同会館の利用を促す跡地の活用方法を検討すべきだ。

  ③「人口が急減しつつある鳥取市で、ビルで囲まれた狭い緑地をいったいどれだけの市民が利用するのか?」

 鳥取市の住民登録者数は、過去の五年間、年に千人~千五百人のペースで減り続けている。このまま行けば、五年後の人口が18万人を割って17万人台に落ち込むことは確実だろう。当然、子供の数も減る。この跡地周辺では高齢者の数さえも減りつつある。
 緑地公園になれば、少なくとも、ベンチ、東屋、トイレ、芝生、花壇、立木等が設置されるのだろうが、果たしてそれだけで人が十分に集まるだろうか。
 立地条件が似ているのは近くにある真教寺公園だが、動物園が併設されてはいるものの、同公園の平日の昼間の利用者は数名程度であることが多い。近くには久松公園もあるが、こちらの方が自然が豊かなためか、比較的利用者は多い。ビルに囲まれ、カド地にあって人の眼にもさらされやすいこの跡地を公園にしても、好んで利用する市民が多いとは思えない。

  ④「「防災拠点を兼ねた緑地公園」では、水害には対応できない」

 今年2月に実施した市民へのアンケート結果では、跡地活用で特に要求される機能としては「防災・減災機能」が最多(36.2%)に挙げられた。さらに今年8月に実施した二回目の市民アンケート結果では、「防災拠点を兼ねた緑地公園」が28.2%を得て最多となった。これらの結果を受けて、「防災拠点を兼ねた緑地公園」案が今後の主な検討対象となる見込みである。しかし、この案で対応できる災害は地震・火災に対してのみであり、温暖化に伴い年々その危険性が増している水害には全く対応できない。

 鳥取市の中心市街地には、あらゆる種類の災害時に避難所として利用でき、かつ、少なくとも数日間は寝泊まり可能な「指定避難所」が一つも無い。現在、中心市街地から一番近い指定避難所としては、湖山地区、中之郷地区、津ノ井地区、東郷地区にまで行かなければならない。自宅が浸水して居住できなくなった中心市街地の住民は、家から遠く離れたこれらの地区にまで避難しなければ夜を過ごせないのである。

 当会では、この中心市街地での「指定避難所ゼロ」を重大な問題であると捉え、昨年の2020年6月に深澤市長宛てに公開質問状を提出した。その内容には「旧本庁舎を6階から4階に減築して耐震性を強化、水害時にも垂直避難可能な指定避難所として活用すべき」という提案を含んでいた。しかし、この提案は市長回答では全く無視され、相変わらず中心市街地に指定避難所が皆無な状態が続いている。
 既に旧本庁舎の解体工事が始まっており、旧本庁舎の一部を残して防災に活用する機会は永遠に失われてしまった。中心市街地に新たに水害対応可能な指定避難所を建てる財源は、もはや鳥取市には無いだろう。


(2)旧市庁舎跡地周辺の急速な人口減少が止まらない

 以下、鳥取市、特に中心市街地の人口減少の詳細に話題を絞ってみたい。
 下の図-1に、現在進行中の「第三期中心市街地活性化基本計画」の対象地域を示す。図中の濃紺色の線で囲まれたほぼ四角な地域が対象地域である。第二期までの対象地域とほぼ同じだが、第三期では新市庁舎西側の棒鼻公園が追加されている。

 図-1 中心市街地活性化基本計画対象地域
 

 また、鳥取市中心市街地を含む市全域の2004年末から2020年末にかけての住民登録人口の推移を下の表-1に示す。上から順に、中心市街地活性化対象地域の北側地区(①:旧袋川より北側)、同南側地区(②:旧袋川より南側)、対象地域全体、さらに、2004/11/1施行の「平成の大合併」以前の旧鳥取市域と周辺旧町村の推移である。

 各地区別人口推移のデータには市の公表値「町別世帯数・人口」を用いた。地区の一部だけが活性化対象地域の中に含まれている場合もあるが、その場合には地区全体が対象地域に含まれているものとして試算した(例:東町三丁目、大榎町、寺町、南町、吉方温泉一丁目、幸町、等々)。なお、天神町については、対象地域地区に含まれているのがイオン駅南店だけなので計算から除外した。
 
 表-1 各地域別の人口の推移
 

 明らかに②の南側地区だけが突出して人口が増加している一方で、表中に赤丸で囲んで示したように、①の北側地区は旧鳥取市域どころか、現在の鳥取市全体よりも人口減少が激しい。鳥取市の中心部に深刻な過疎地が出現してしまったのである。②の南側地区の人口が16年間に一割以上伸びている一方で(その大半は前半の8年間によるものだが)、①の北側地区の人口は14%も減ってしまっている。

 注目されるのは、2012年があの「市庁舎新築移転問題」に関する住民投票が5月にあった年であることだ。住民投票の翌日に「市民に圧倒的に支持された「現在地での耐震改修案」を尊重する」と表明した竹内功前市長だが、その時点で北側地区の人口は8年間で既に一割も減っていたというのに、性懲りもなく、その年内には新築移転案の推進を再び画策し始めたのである。その結果、2014年12月の市議会で位置条例が可決されて(直前の11月の市議選の時点では態度を鮮明にしていなかった秋山議員が、急遽、移転賛成に転じたことによる)、新庁舎の駅南への移転が正式に決まってしまった。この決定によって北側地区の衰退はさらに加速されることとなった。要するに、竹内前市長にとっては、中心市街地の均衡ある発展よりも、自分の選挙地盤となる業界に仕事を与える方がより重要だったのである。

 上の表-1に見るように、2003年から始まったこの鳥取市の「中心市街地活性化」事業は完全な失敗でしかなかった。鳥取駅周辺に人口が集中する一方で、県庁・旧市役所の周辺は急速に寂れつつある。しかも、その大きな原因が、日本の自治体で初めて住民投票結果をひっくり返してまでして、あくまで自分の欲を貫いた当時の市長の行動にあるのだから、情けないというほかはない。

 全国各地で同様の「中心市街地活性化計画」が実施されているのだろうが、その計画の目的自身を自治体の首長自身がこれほど露骨に踏みにじった例は皆無であろう。全国の自治体の歴史の中で、鳥取市はこの十数年間にわたってまことに恥ずかしい内容の1ページを付け加えてしまったのである。

 さて、この機会に鳥取市全体の急速な人口減少についても触れておこう。図-2と表-2に山陰地方を主とする近隣都市との人口推移の比較を示す。人口が少ない自治体ほど人口減少が急速な傾向があるので、人口が14~20万人の都市だけを比較対象とした。

 図-2
 

 表-2
  

 一見して判るように、鳥取市の人口減少率は他の都市に比べて突出している。他の都市は日本全国の人口減少率 (-1.21% 2005~2020)と大きな差はないが、鳥取市の人口減少率は日本全国の五倍以上もある。これも、この間の二代の市長が鳥取市の経済振興に対してなんら有効な手を打てず、新市庁舎新築移転などのハコモノ建設ばかりに狂奔してきた結果なのだろう。

 なお、上の表-1からは旧鳥取市と合併した周辺町村の人口減少のすさまじさが読み取れるが、その一方で、全国の小規模自治体の中には、国が推進した「平成の大合併期」にあえて合併しなかったことで、むしろ住民の所得を伸ばし人口減少を最小限に抑えることに成功した自治体が散見される。詳しくはブログ「人口急減が止まらない鳥取市」の後半部を見ていただきたい。鳥取市の場合には、「平成の大合併」が合併された旧町村の「自分たち自身で自分たちの地域の将来を決める」機会を奪い、現在の衰退をもたらしたのである。

 人口移動の主な背景は経済的要因である。市経済が落ち込むばかりの鳥取市には、このままでは明るい将来は期待できない。仮に跡地に立派な公共建築物が立ったとしても、今の市経済不振のままでは、人件費・電力費等の維持費の捻出にすら苦労することになるだろう。


(3)当会からの跡地活用策の提案

  ①「無料または低料金で利用可能な駐車場」

 この比較的狭い跡地の中のみで街の活性化を図ろうとしても無理がある。跡地周辺の地区に現在欠けている機能を補うことで周辺の活性化を促すことが望ましい。店舗や事務所の数が増えて就業機会が増えれば、医療・教育・自然環境の面では充実しているこの地域だからこそ、若い世代が再び定着するようにもなるだろう。

 現在、跡地周辺の商業活動は急速に衰退してしまっているが、その大きな要因としては駐車場の不足が挙げられる。市の郊外に位置し大半が県外資本の集客力が高い大型店は、いずれも広大な駐車場を備えている。理想論はさておき、大半の住民や観光客にとっては車が不可欠な移動手段となっているのが今の鳥取の現実なのである。駐車場がない店には地元の限られた客しかやって来ない。個々の店が自前で数台分の駐車場を確保しても、費用がかかるし利用者にも認知されにくい。

 例えば、「少なくとも今後十年間は、この跡地を無料駐車場として開放することを約束する」と市が宣言しさえすれば、周辺で新たに店や事務所を開こうとする動きが必ず出て来るだろう。元々意欲のある人に行動開始を促すきっかけを作ること、これこそが活性化に他ならない。単に補助金をバラまくだけでは地域の活性化にはつながらない。補助金が切れると同時に廃業した例は、鳥取市内には掃いて捨てるほどある。

 「自宅の駐車場替わりに使う人間が出て来る」等の異論も出るだろうが、夜間の駐車を禁止する、周辺の店や事務所の利用者には無料駐車券を発行し、それ以外の利用者からは低料金を徴収する等々、適切な管理方法はいくらでも考えられる。「無料や低料金では周辺の既存駐車場が圧迫される」との意見も出るのかもしれないが、この地域の衰退が続けば、近い将来、周辺の駐車場もガラ空きとなるだろう。街を再生して人が集まるようにするための、公共のための政策である。大手を振って正々堂々と実施すればよい。

  ②「一部はオープンスペースとして、水道・電気・トイレを併設。希望者に無料または低料金で貸し出す。」

 屋台村、ミニコンサート、野菜直販、商品展示会等々、イベント開催可能な屋外スペースを跡地の一部に設ける。駐車場が隣にあれば参加者も集まりやすい。イベント用のテントや資材を保管するプレハブ倉庫も必要だろう。

 図-3 跡地周辺のビルの現状                  図-4 解体中の旧本庁舎  

   

 /以上



「旧本庁舎跡地活用」に関する「市民ワークショップ」参加報告 (2020.12.02)

 11/1と11/15の両日、旧本庁舎の跡地活用に関する市民ワークショップが市主催で開催されました。当会からは会員数名が参加、全体の参加者数は11/1が20名、11/15が26名で合計46名でした。当初は福部、河原、鹿野の三会場でも実施予定でしたが、参加応募者が少なく、結局、市民会館と新本庁舎の二か所のみで実施されました。以下、参加者の視点から見た概要を報告します。

(1)市民ワークショップの概要

 両日ともに参加者が三班に分かれ、各班には進行役のファシリテーター(外注業者、詳細は後述)各一名が配属され、参加者から跡地活用に関する意見を書いた付箋を回収した。その付箋をホワイトボードに貼り、それを見てさらに参加者が意見を書いて追加するという方式。最後に各班が集合して、ファシリテーターが各班を代表して出た意見を紹介した。ワークショップで出た意見は市の公式サイトに既に掲載済みだが、念のために以下にも挙げておく。

「市民ワークショップ、及び団体等の意見」  

 以下、感じた問題点。

 ・「ワークショップ」とのことで、当然、参加者が相互に議論を交わして跡地活用策に関する意見の絞り込みを行っていくものと予想していた。しかし、参加者相互間の意見交換はほとんどなく、外注業者が意見を集めて発表まで行うという、事前の予想とはほど遠い内容。これでは通常のアンケートとほとんど変わらない。

 ・参加者相互間の議論がないために各自の意見の言いっぱなしで終わり、参加者間での跡地問題に関する認識や合意形成が全く深まらなかった。渡された資料の表題には「みんなで一緒に考えましょう 鳥取市の将来」とあるが、集まった部屋が「一緒」であるだけで、「考える」ことさえもほとんどできなかった。いったい、このような形式だけのイベントを実施する意義はどこにあるのか。鳥取市では毎度のことだが、「市民の意見は拝聴しました」という既成事実をつくるための単なる儀式のひとつにすぎないのではないか。

 ・コロナ対策として入室前の消毒、全員マスク着用、参加者相互間の距離確保が徹底されていた。しかし、一例を挙げれば、筆者が参加した班は9名で構成されていたが、各自が座る椅子間の距離が2m以上離れていたため、真向いの参加者との距離は推定で8mはあった。この距離では相手の言っている話の内容もよく聞き取れないし、相手に質問することもできない。全員がマスクをしているのだから、より議論しやすい形式にすべきであったと思う。
   
(2)当会提案の「無料駐車場としての活用」に対する反応

 当日の雰囲気を伝える一例として、筆者が参加した班の様子に少し触れておきたい。当サイトで以前から主張しているように、当会では「跡地を無料駐車場として活用し、周辺の活性化を図る」ことを提案している。他の班では他人の意見に対する批判を受け付けない所もあったと聞くが、筆者の参加した班では批判意見を「必要ない施設」として付箋に書き込んでよいことになっていた。他の参加者からの「駐車場としての活用」案に対する批判が二件あったので、この場で紹介しておこう。

  ①「駐車場をつくると騒音が発生してうるさい。費用もかかる。公共交通の利用を増やせばよい。」

 この批判をされた女性は、駅前にあるような五、六階建てのビル丸ごとの駐車場を想像していたようだが、当会の提案はあくまで現在の平地のままでの駐車場への転用である。また、確かに公共交通の利用が理想的だが、鳥取では公共交通のみでの来場を義務付けた商店やイベントは現実には一つも存在してはいない。その理由はお客が一気に減るからである。人が集まるにはまず駐車場が必要、公共交通網を充実させようとすれば膨大な公費がかかるがその財源が無い、というのが今の鳥取市の実情なのである。これらの補足説明をしたかったが、上に述べたように参加者間の議論のやり取りをする時間すらも設定されておらず、すれ違いのままに終わってしまった。

 ②「既に市の商業の中心は郊外に移っており、いまさら中心市街地の商業の活性化を図る必要はない。中心市街地には魅力的な店も無く、郊外の店だけで用は足りる。中心市街地の活性化などは無駄である」

 三十才前後の男性からのこの批判についても、当日は反論する機会が無かったので、以下、この紙上を借りての反論を試みたい。

「反論」
 郊外の商店街の典型例として、商店が密集している「湖山街道(旧国道9号線)+イオン北店周辺」を見てみよう。この地域の店の中で、鳥取市を本社・本店としている店がどれだけあるだろうか?小規模な食堂、喫茶店、雀荘、自動車修理工場等、少数を除けばここにある店の大半が全国チェーンに所属している。全国どこの街に行っても、郊外には同じように全国チェーン店が軒をつらねている商業地区が存在する。当然、湖山街道やイオン北店を目的として鳥取にやってくる観光客はほぼゼロだろう。その理由は、自分の街にもあるような店ばかりだからである。湖山街道が便利な場所だと思っているのは、鳥取市とその周辺に住む住民だけなのである。

 ここで鳥取市の将来人口予測を確認してみよう。下の図は今回のワークショップ参加者に市が提供した参考資料から抜粋したもの。

 

 2020年以降は毎年約1100人ずつ減り続け、2030年には現在よりも約6%減になるとの予測である。この将来見込みは市が2017年に作成し、その後若干修正したものらしいが、図中に書き加えたように、現時点での実際の人口は、早くもこの予測よりもさらに三千人近くも減少、逆に世帯数では予測よりも四千世帯以上も増えている。高齢者の一人世帯が急増しているためではないだろうか。

 市の経済状況が現状のままでは、十年後の市内人口は現在よりも少なくとも6%減、県東部全体ではそれ以上の減少となることは間違いないだろう。年金生活の高齢者が増えるのだから、消費額の落ち込みが人口減よりもさらに大きくなることも確実だ。当然、郊外の商業施設もその売り上げと店舗数を大きく減らすことになる。土地と店舗を借りているだけの県外資本は、売り上げが減れば撤退するのも簡単だろう。十年後の湖山街道では、現在の中心市街地と同様に空き店舗が急増している可能性が高い。この地区の雇用者の数も急速に減少することになるだろう。

 このように考えると、人口減少に負けずに現在の市内の商業の規模を少しでも維持しようとするならば、地域外からの消費の呼び込みが絶対に必要である。それにはやはり観光客に来てもらうしかない。観光客が求めるものは、鳥取にしかないユニークな店である。「鳥取らしい店」の立地条件としては、やはり、それなりの歴史を持つ中心市街地に位置していることがふさわしいと思う。湖山街道の店に入っても、鳥取に来た気分には全然なれない。

 少数だが、中心市街地の中にもユニークな店がいくつかはある。一例として、旧本庁舎のすぐそばにあるタンタンメンの店を挙げておこう。土曜日の午前11h 過ぎにこの店の前を通ると、酷暑の夏でも、寒空のもとでも、何人ものお客さんが既に行列を作って並んでいる。「食べログ」でもかなり上位にランクされていて人気の店のようだ。また、先日、ホルモン焼きそばで有名な吉方温泉町の店に初めて行ってみたが、平日の昼前だというのに狭い店内は既にほぼ満席でずいぶんと驚いた。名物の焼きそばを食べたが、太麺にピリ辛味噌の濃厚な味付けでなかなか美味しかった。何の変哲もない住宅街の中にある普通の店でも、努力を積み重ねることでお客さんを呼び込むことができる。全国一律のメニューや、本部の指導で格一化されたサービスに頼っているだけでは、人口減少の大波に勝てないことは明らかだ。    

(3)「生活の質の向上」か、「市経済の振興」か?  

 同じく当日の参考資料から抜粋した図を下に示す(図をクリックすると拡大図が表示される)。
 
 これは今年の三月に市が鳥取市民に対して実施したアンケートの結果をまとめたものだ。たくさんある市政の課題を、住みやすさの「重要度」と「満足度」を評価軸にして可視化したものである。横軸が「満足度」を、縦軸が「重要度」を示している。市民が重要とみなしながらも、現状には満足できていない課題こそが、鳥取市にとって最重要課題であることは間違いないだろう。

 この図では右上に位置するこれらの最重要課題とは、「給与・勤務時間などの労働条件」と「雇用の確保」の二点だ。いずれも雇用に関するものである。目立つように赤い丸で囲んだ。続いての重要な課題は「交通の便」、これはオレンジ色で囲んだ。


 その他の課題の大半は図の真ん中あたりに分布しているが、特に目を引いたのは、図の一番下に位置している「自治会などの地域活動」と「公民館活動」である。青い丸で囲んだこれらは、いずれも市民の自治活動に関する課題なのだが、市民の目からみて重要度は低いとされる結果となった。従来の自治会や公民館活動の内容が既に形骸化して市民の関心が低下しているのではないか。最近の政府は防災面での「公助」よりも地域住民自身による「自助」を強調する傾向にあるが、自治活動に対する市民の関心がこのように低いままでは災害時の対応が心配である。

 さて、この図を参考に、今回のワークショップで提出された数多くの跡地活用案を改めて見直してみたい。分類の大枠として「生活の質の向上」と「市経済の振興」の二種類を設定する。主要な提案をこの大枠に沿って分けると次のようになる。提案の大半が「生活の質の向上」に含まれると思われるので、多少なりとも市経済に資すると思われる提案は後者に分類した。どちらとも分類しがたいものは「その他」とした。類似の提案は一つにまとめた。

「生活の質の向上」
 緑地公園、スケボー練習場、能楽堂、300人規模の音楽ホール、美術館を含む芸術文化センター、老人向けサロン(第二庁舎)、
 保育園、文化団体事務局、イベント広場、防災拠点、居場所が無い若者の居場所、多目的施設・広場、幼児と触れ合える高齢者住宅、
 悩み相談所、NPO活動拠点、中央公民館、健康増進機能、バスターミナル、市役所分室

「市経済の振興」
 無料駐車場、商業施設・食品スーパー、観光案内所、コンベンションセンター、映画館、地域食堂、起業支援施設、
 レストラン・喫茶店、屋台村、朝市、温泉施設

「その他」:国・県用地との交換、NHK鳥取放送局、国の機関誘致、環境大・鳥大と連携する場

 当会が「跡地を無料駐車場として市民・観光客に開放」することを提案した理由は、もちろん、観光や周辺商業の発展を通じての「市経済の振興」を目的としてのことである。この跡地の周辺には、鳥取城址、旧城下町の雰囲気が残る細い路地、観音院、樗谿公園、県立博物館、とりぎん文化会館等々があり、観光の対象やイベントの舞台には事欠かない。足りないのは人を呼び込むための駐車場だけである。この跡地を駐車場として市民と観光客に開放することで、集客が、さらに人が集まることで周辺商業の活性化が期待できるだろう。平地を駐車場に区割りし直すだけだから、初期投資もほとんど不要である。

 もちろん、「生活の質の向上」も一般論としては大いに歓迎だが、今の鳥取市では「市経済の復活と発展」なくしては、現在進行中の人口減少の加速化すらも止められない。「この街でメシが食えず、子育てもできなくなれば、結局は別の街に引っ越してしまう」だけなのである。自分たちの子や孫が鳥取に帰りたくても働ける場所すら見いだせないようでは、せっかく資金を投じて作った広場も施設も、結局は世話する人が誰もいなくなって荒れ放題となってしまうだろう。その実例は、鳥取市と合併した旧町村部の現状に見る通りなのである。

 仮に、この跡地に文化施設を新しく作るとすれば、極力、その質を高めて市外からも客を呼べるレベルを実現するべきだろう。自分たちの仲間うちだけで当面楽しめればそれでいいと考えているようでは、将来的には市のお荷物となる可能性が大である。

(4)「市の財政見通し」は現時点で既に実現は不可能

 当日の参考資料からの抜粋の残り一点を下に示す。今後の市財政の見通しについてである。

 

 この図には今年度、2020(R02)年度のデータが欠けているが、コロナ禍の影響で補正予算も含めた今年度の歳出見通しは、九月議会が終了した時点で既に1431億円と史上空前の規模となり、当初予算の965億円を既に500億円弱も超過している。この超過分の財源としてその大半には国と県からの支援があると市は繰り返し説明しているが、市の正味の負担分が全くゼロということにはならない。

 一例を挙げれば、市の貯金に相当する財政調整基金は九月までの補正予算の財源として既に10.1億円が取り崩され組み込まれている。上図の右下のグラフの中にある「財政調整基金等」は、R03年度の見通しを43億円としているが、この額が少なくとも10億円減って33億円以下となる可能性が非常に高い。33億円を市人口の18.6万人で割れば、一人当たりで1.77万円にしかならない。この財政調整基金とは、地震や水害等の災害発生時に市独自の判断ですぐに使える唯一の財源と言ってよいが、この程度の貯金しかないのでは益々将来が不安である。例によって国に頼るしかないのだが、国自身も先進国中最大の借金国であり、このコロナ禍で財政健全化の計画すら立てられなくなっている。既に国は、今年九月に来年度の地方交付税支給額の減額を公表済みである。

 また、上の図では来年度の市税収入を210億円としている。当初予算での市税収入見込みとしては、2019(R01)年度は236億円、今年度の2020(R02)年度は239億円としていた。しかし、コロナ禍で市の全産業、特に観光・宿泊・飲食業が大打撃を受けており、個々の市民の給与総額も減少、今年度の市税収入の大幅な落ち込みは必至である。来年度も、到底210億円までは回復しない可能性が大だろう。この市財政の見通しについては、もはや実現不可能なことは明らかであり、早急な見直しが必要である。また、このような鳥取市や国の財政状況の下では新たな大規模投資が既に不可能であることも明白であり、跡地活用の検討には、財源が圧倒的に不足しているという現実も考慮しなければならない。

(5)なぜ、市はアンケートや市民ワークショップの実施まで業者に外注するのか?

 さて、今回のワークショップの内容については以上に述べたとおりだが、運営面で見逃してはならない大きな問題点がある。それは、このワークショップが県外の外注業者(広島市に本社がある「復建調査設計」)によって運営されたことである。今回のワークショップにとどまらず、各団体や通行人からの意見聴取、今後予定されている市民アンケートに至るまでの全てをこの会社が請け負うことになっている。このための費用としての740万円が今年度の当初予算案に挙げられており、二月市議会で既に承認済。今年五月の入札で復建設計の受注が決定した。
「「旧本庁舎・第二庁舎跡地活用検討支援業務」公募型プロポーザルの選考結果について」

 問題は、市民からアンケートを集めてまとめるだけのような、従来は市職員が当然の業務として担当していた仕事を、なぜ外部の業者に任せるようにしたのかということである。今回のワークショップで業者が担当した仕事には特別な知識や技能は全く必要ない。参加者の意見や議論をまとめるファシリテーターの役割などは、普通の能力を持つ者であれば、解説書を一、二冊読むだけで誰でも務まるはずだ。市の正規職員が休日出勤して担当すればすむだけのことだ。

 市内の雇用を増やすという意味でも、この程度の仕事は市職員に全て任せるべきである。市職員のほとんどが鳥取市内かその周辺に住んでいるはずだから、市職員が休日出勤手当として受け取ったおカネの多くが市内で消費されることになる。市内を循環するおカネの量に比例して市内の雇用が生まれる。市職員が当然できるはずの仕事を外注業者に、それも市外の業者に任せれば、おカネの大半が市外に持ち出され帰って来なくなる。かっての市の基幹産業であった電機産業がほぼ壊滅し、頼みとする観光宿泊・飲食業もコロナ禍で惨憺たる現状では、外部から市内にカネの流れをより多く呼び込むことなどは当面は到底期待できそうにない。市内の産業・雇用を維持するためには、市民から集めた税金や国・県からの支出金を行政が率先して市内で使うことが必要不可欠である。ところが、市政策企画課が担当しているこの跡地活用検討事業は、完全にその真逆の方向を向いているのである。

 市の業務を何でも外部業者に丸投げしようとするのが、深澤市政に一貫した著しい特徴である。市民と直接に向き合う市役所窓口の担当者は、その大半がニチイ学館からの派遣社員に置き換わってしまった。現在、建設費206億円で河原町山手に建設中の新可燃物処理施設は、完成後20年間の運営を製鉄大手JFEの子会社に130億円払うことで契約済みである。これらの費用負担はほぼ人口比での配分となるから、その大部分が鳥取市の負担となる。
 市内吉成の市立体育館の建替え、及び完成後15年間の建設・運営の費用は、総額55億円でスポーツ用品メーカーのミズノを主体とする企業体に丸投げ済である。東京や大阪の大企業に利益を吸い上げられた分だけ市内で循環するおカネの流れは細ることになる。その結果、市内企業の売り上げはますます落ち込み、人口流出が加速する。

 市立体育館の建設はともかくとして、その運営までも業者に丸投げしておいて、市の正規職員はいったいどんな仕事をして給料をもらうつもりなのか?窓口で直接市民の声を聴くことも無く、今回のワークショップのように、市の幹部が冒頭で形式的なあいさつをするだけで職員が市民の意見を聞いて回ることすらもしないのでは、市職員は本来の仕事であるはずの市民に対するサービスの能力を失って無能化するばかりである。仕事を外注に丸投げしている職員を、市長が黙認し甘やかしているのだから実に困ったものだ。いや、本当は市長自身が丸投げを指示しているのかもしれない。こんなことでは、将来、市の正規職員の大幅給与カットや定員削減も必至だろう。

 市内の産業を育てようとしていないのだから、市職員自身の子や孫も都会に流出したままで、仮に帰りたくても仕事の無い鳥取には帰って来れないことになる。市みずから人口流出を加速させるという愚かな政策を一貫して続けて来て、これ以上この街をさびれさせて一体どうするつもりなのか? 近い将来、市内のあちこちに高齢者がポツポツととり残されているだけの寂れた街になってしまうぞ!!

 深澤市長、市職員幹部、さらに、自分で自分の首を絞めるがごとき、このようなデタラメな市の政策を放置・容認し続けてきた市議会に対して猛省を求めたい。

(/以上)


旧本庁舎跡地の無料駐車場としての活用を市長あてに提案しました(2020.11.07)

 現在、旧本庁舎跡地活用に関する市民ワークショップが市内二カ所で開催されています。11/1の市民会館は既に終わり、残るは11/15の新本庁舎での開催。当会では会員数名が既に11/1に参加、さらに11/15にも参加予定であり、全ての日程が終了した段階で当サイトにて内容を報告する予定です。

 さて、当会では、旧本庁舎跡地の活用方法として「当面は無料駐車場としての活用」「市長への手紙」制度を利用して10/22に市長に対して提案しました。10/27に回答が返ってきました。以下、その回答内容を以下に示します。事前に予想していた通りですが、詳しい内容には踏み込まない「ご意見を参考にする」というだけの回答でしかありませんでした。

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 〇〇〇 様

 このたびは、市政提案にお申込みいただきありがとうございました。いただきましたご意見に対し、下記のとおり回答します。 今後とも市民の皆様の参画と協働のまちづくりの推進に努めてまいりますので、市政運営へのご理解とご協力をお願いします。

 令和2年10月27日     鳥取市長 深澤 義彦

【受:2020-10-22】
 件名:旧本庁舎跡地は無料駐車場として活用すべき

【回答】
 このたびは、本庁舎跡地の有効利用につきまして、貴重なご意見をいただきありがとうございました。本庁舎等跡地活用につきましては、市民ワークショップ等を開催するなど、市民のみなさま等のご意見を伺っているところです。お寄せいただいたご意見につきましては、活用方策を検討する際の参考とさせていただきます。
  
【本件に関するご質問・お問合わせは下記まで】
鳥取市企画推進部 政策企画課 (電話番号:0857-30-8012) (E-Mail:kikaku@city.tottori.lg.jp)

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  以下、当会がこの案を提案した背景について触れておきます。近年、鳥取市の財政は悪化の一途をたどっており、下のグラフに示すように市の借金である市債の発行額は年々増加、市債残高は2015年を底として急速な増加に転じ、今年度末には1141億円に達する見込みです。この市債増加の一因が約100億円を要した新本庁舎の建設です。2014年末に市議会が3分の2以上の賛成で位置条例を可決、翌年から新本庁舎の建設計画がスタート。それ以来、可燃物処理場の新設等も加わって、市の借金膨張に歯止めがかからなくなってしまいました。
 

 市は「新本庁舎やその他の大型投資については合併特例債と臨時財政対策債(臨財債)を使って市債を発行しており、合併特例債は元利返済分(償還額)の七割、臨財債は十割が将来の地方交付税に含めて国から支給されるから大丈夫」と言い続けて来ました。しかし、国からの地方交付税は年々減額される傾向にあり、これから借金の返済分を差し引くと市が自由に使える財源は年々縮小しているのが実態です。下に2016年までの鳥取市への普通地方交付税の交付額の推移を示します。棒全体の高さが交付額ですが、これから市が金融機関に支払っている合併特例債と臨財債の償還額を差し引いた残りの緑の部分が市が自由に使える財源です。自由に使える財源である緑の部分が近年急速に減少していることは明白です。

 2017年以降の交付額は210億円前後で推移していますが、本庁舎新築で多額の合併特例債を発行したために、今後ピンクと水色の部分がさらに膨らむこととなります。さらに今年のコロナ禍の影響で、来年度以降は交付額全体がさらに削減されるのはもはや確定的です。なお、上のグラフの「市債償還額」が下のグラフの償還額合計よりも大きいのは、上のグラフには合併特例債と臨財債以外に発行した市債の償還額も含まれているためです。
  

 左に鳥取市の経常収支比率の推移も示しておきます。
 この指標は、用途が特定されていない財源に対する人件費や公債費などの毎年必ず支払われる支出の割合を示すものです。この比率が上昇することで財政は硬直化し、政策的な新規事業に回す財源が乏しくなります。鳥取市の財政が年々硬直化していることは明らかです。













 このように、最近の鳥取市の財政運営は年々困難の度を加えつつあります。2018年には水道料金の大幅値上げがありました(標準世帯で25%もの大幅値上げ!)。市職員に占める非正規職員の割合は50%を超えました。市自らがワーキングプアを量産しているのです。各種補助金は削減され、市内各地の公共施設は荒廃が進んでいます。市庁舎を新築することで市の借金を増やせば、その結果として市民サービスのさらなる低下を招くということは、当会の前身である「市庁舎新築移転を考える市民の会」が、会が発足した2010年以来、繰り返し指摘してきたことでした。当時恐れていたことがいよいよ現実化してきたのです。新築移転案を推進した前市長と現市長、さらに当時この案に賛成した市議会議員の責任は重大です。

 現在はコロナ禍のさなかにあり、この冬にはさらに感染が拡大する恐れが強まっています。国も各自治体も、現在、過去に経験が無かったほどの財政悪化の途上にあります。この緊急時に旧本庁舎跡地に新たに大規模な公共施設を立てることは、将来世代の負担をさらに増やし、ますます市民サービスの低下を招くだけです。当面、この跡地は新規投資がほとんど不要の無料駐車場として市民と観光客に開放し、周辺の活性化の一助とすべきであると考えます。

/以上


災害時の避難所に関する質問状への市長回答を公開します(2020.09.04)

 連日のように35℃を超える酷暑、毎週のように相次いで襲来する大型台風。地球は、そして日本は、いったいこれからどうなってしまうのでしょうか?千代川水系等、鳥取市内を流れる河川の氾濫の危険性は増すばかりです。当会が七月に鳥取市長宛てに提出していた災害時の避難所に関する公開質問状への回答がありましたので以下に公開します。市内での水害等の災害が発生する確率は今後もさらに増加していくことが予想されます。緊急時に備えての参考としてください。

 「市長回答 本文」

 以下、項目別に回答の概要を説明します。なお、鳥取市内の「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の一覧については市の公式サイトも参照してください。

質問① 鳥取駅より北側の中心市街地にある一時的避難所としての「指定緊急避難場所」10カ所における避難用物資の備蓄状況は?
  →「別紙1」

 小学校四校に関しては、各々毛布200枚、防水シート100枚、紙おむつ、救急医療セット等を備蓄中。公民館三か所には各々毛布20を備蓄。市武道館、とりぎん文化会館、市教育センターには備蓄品なし。なお、全ての指定緊急避難場所について、非常食と水の備蓄は無し。

質問② 自宅が損壊した避難者が短期間宿泊可能な市内各所の「指定避難所」における避難用物資の備蓄状況は?
  →「別紙2」

 市内の「指定避難所」の一覧については、「別紙5」を参照のこと。このうち、平成の大合併前の旧鳥取市域で「指定避難所」となっている六つの小学校については、上記の中心市街地四小学校と同様に、各々毛布200枚、防水シート100枚、紙おむつ、救急医療セット等を備蓄中。他の「指定避難所」については現在備蓄は無く、避難所開設の際に各地域の備蓄倉庫より物資を輸送する予定。なお、質問①の回答と同様に、全ての指定避難所について非常食と水の備蓄は無いものと思われる。

質問③ 「指定緊急避難場所」又は「指定避難所」で避難用物資が不足する場合、具体的な供給体制はどうなっているのか?
  → 具体的な供給体制には触れず、一般論の回答に終始。
 
 各地域の備蓄倉庫の所在地を明示した上での具体的な回答を望む。一例を挙げれば、旧鳥取市域の場合には新市庁舎西側にある防災倉庫が主要な備蓄倉庫になるものと思われるが、この場所は市のハザードマップによれば周囲の浸水深さが最大3mとなっており、緊急時の物資輸送体制には不安がある。この防災倉庫自体は周辺よりも約1m程度かさ上げされているが、周囲の道路高さは従来のままであり、道路水没時には物資の搬出をどうやって行うつもりなのか?各避難所に供給する避難用物資は、より安全な場所に分散して備蓄すべきである。

質問④ 民間施設との協定に基づく避難場所としてトスク本店等の四カ所が挙げられているが。具体的な協定内容は?
  → 「別紙3」

 この協定内容によれば、これらの民間施設は一時的な避難を可能とする「指定緊急避難場所」と同程度の位置付けである。備蓄物資は無く宿泊等は不可。

質問⑤ 高齢者や障がい者等、自力での避難が困難な「災害弱者」に対する災害時の介助体制は?
  → 自治会・町内会・自主防災会等の地域で支援する互助・共助の取り組みを行っている。

 地域の実情を知る地域内在住者でなければ「災害弱者」の分布と実態を把握できないことは理解するが、これらの介助体制の進捗については町内ごとに極端な差があるのが現状。互助・共助の体制が進んでいない地域に対しては、市が積極的に支援して介助体制の確立をうながすべきである。

質問⑥ 「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の各々の収容可能人員は?
  → 「別紙4」「別紙5」

 この収容可能人員は、各施設の面積を一人当たり2m2で割って割り出したものであり、あくまで目安。

質問⑦ コロナ感染まん延の現在、各避難場所・避難所の収容人員の見直しは必至と思われるが?
  → 一人当たり2m2に加えて世帯ごとに区画を設け、区画間の間隔を2m以上あけることにしている。

 この回答通りであれば、各施設の収容人員は質問⑥の回答よりも当然減少することになる。なお、コロナ等の感染症対策を含む避難所運営マニュアルについては市の公式サイトを参照してください。

質問⑧ コロナ感染対策として避難所におけるパーテーション(間仕切り)や段ボールベッドが必要とされるようになったが、鳥取市の準備状況は?
 → 間仕切りは290、段ボールベッド154を調達済。

 被災範囲が市内の広範囲に及んだ場合、この数量だけでは不足するものと予想される。他自治体からの供給も含めた補充体制の確立が必要。また、既に質問③でも指摘したが、備蓄倉庫から指定避難所までの輸送には不安がある。備蓄倉庫は指定避難所に隣接して配置すべきである。

/以上


旧本庁舎活用に関する公開質問状への市長回答について(2020.07.21)

 先月初めに深澤鳥取市長宛てに提出した「旧本庁舎・第二庁舎の活用に関する公開質問状」に対する市長回答が先月末に当会に届きました。当会ではこの回答内容について検討した結果、一部の項目に関して再質問状を提出することとしました。以下、市長からの回答内容と当会としての対応について述べます。

(1)市長回答の内容
 回答内容の詳細については下記を参照してください。

「旧本庁舎・第二庁舎活用に関する公開質問状への市長回答」

 今回の回答の要約は以下のようになります。

「質問①」 現在の「早期解体」方針は市民の意見を一切聞くことなく決められたもの。今後予定している市民アンケートの結果が出るまでは棚上げすべき。
   ⇒(市長回答) 市議会の「調査特別委」から早期解体すべきとの報告が出ている。同特別委は市民の代表である市会議員によって構成されており、その結論は尊重すべき。現在の方針のまま進める。

「質問②」 現在、鳥取駅よりも北側の中心市街地には災害発生時の「指定避難所」が無く確保が急がれるが、市長の考えは?
   ⇒(市長回答) 中心市街地はほぼ全域が千代川水系の洪水浸水想定区域に含まれており、(国の)指定避難所の指定基準を満たしていない。中心市街地の一時的な避難場所としては十か所の「指定緊急避難場所」があり、浸水時の避難先として利用可能。さらに民間施設であるトスク本店や鳥取敬愛高校等と協定を結んでおり、避難先として利用が可能。

「質問③」 第二庁舎の「早期解体と売却」計画を推進している理由は?
    ⇒(市長回答) 質問①に対する回答と同じ理由。なお、解体後に売却する計画は無い。


(2)市長回答に対する当会の見解

「質問①」
 
  ①-1 
鳥取市民は「旧庁舎跡地問題」を市議会に白紙委任してはいない。

 この特別委の「早期解体」方針は2019/6/5の同委員会で採決を取り賛成多数(賛成6、反対1)で可決されたもの。当日、同じ会派に属する岡田委員長に多数決による採決を促したのは与党の会派新生の古参議員である上杉栄一議員だが、同議員は前年11月に実施の市会議員選挙では、公約として「市民の意見等を踏まえた、本庁舎跡地の活用策の早期決定」を掲げている。同氏の当時の選挙公報を左に示す。
 上杉氏は、当選して半年後には、早くも「市民の意見を踏まえる」ことをサッパリと忘れてしまわれたようである。

 この一昨年秋の市議選には35名が立候補し32名が当選したが、全立候補者の公約を掲載した当時の選挙公報では、旧本庁舎の跡地問題を公約として取り上げたのは上杉氏ただ一人であった。さらに、この市議選の投票率はわずか41.7%でしかなかった。
 要するに、先回の市議選では「旧本庁舎の跡地問題」は全く争点ですらなかった。有権者の大多数はこの「跡地問題」に関しては、先の市議選の時点で「判断保留」の状態にあったといってよいのである。
 
 「跡地問題では市民の声を踏まえる」と公言して当選した唯一の議員は、当選後は主張を一変、後で述べるように公の場で「我々が代表なのだから、我々が決めればよい」と主張して「早期解体」を決定したのである。このような二枚舌議員が主導して決めた「早期解体」方針を、深澤市長が言うように「市民の代表による結論であるとして尊重」してよいのかどうか、極めて疑わしいと言わざるを得ない。
 有権者は、選挙での当選者に対して任期中の政策を全面的に白紙委任しているわけではない。直近の選挙で争点とならず有権者の意向が明確に把握できない事項については、行政側があらためてアンケート等によってその多数意見を把握することは、民主主義を国の根本理念とする日本社会では最低限の常識であるはずだ。

  ①-2
「早期解体」を決めた昨年六月の特別委の議事録で、上杉議員の発言内容を意図的に改ざん?」

 昨年の6/5の「早期解体」を決めた市議会特別委の議論を筆者を含む当会会員四名が傍聴していた。この日、跡地利用について何らかの方針が決まると予想されたので、ふだんよりも多くの会員が傍聴していたのである。その場で我々が耳を疑ったのは、上杉議員による「我々は選挙で選出された代表なのだから、我々が方針を決めればよい」との発言であった。筆者はこの発言を聴いて、「何をバカな!」と一瞬頭に血がのぼったことを覚えている。会議終了後に確認したが、他の三名の当会会員も、同様にこの発言に怒りを覚えたとのことだった。この特別委の内容については、まだ傍聴の記憶が生々しかった昨年6/23付の当サイトの記事として既に掲載済みである。

 先月、念のために当時の議事録を総務課に開示請求して入手した。
  2019/06/05特別委議事録 (全21ページと長文のため、冒頭・末尾と関連部分のみを抜粋。)

 その内容を確認したところ、どうも当時聴いた発言とは表現が違っている。該当する上杉議員の発言は議事録の16ページの下から17ページの上にかけての部分だったと思われるので以下に抜き出してみよう。

・・・我々は市民から負託を得て出とる議員なわけだから、だから、この委員会の中でしっかり責任を持って、自分の言動に責任を持って判断すればいいというふうに思つてるので。だから、後の活用方法については、広く市民の意見を聞く必要あるけども、これを残すか、あるいは解体するかについては、市民の意見を聞いて、それで決めるような話は、県の美術館の二の舞になるような気持ちがあって、私はそれには賛成できない。

 「我々は市民から負託を得て・・」とあるが、負託というような高尚な言葉は使っていず、もっと直接的な言葉であったと記憶している。この議事録では意図的に表現がやわらげられ、かつ、もって回った言い回しとなり、一読して読み手を刺激しないような表現に変えられてしまった可能性が高い。いずれにしても、「解体するかしないかについては、市民の意見を聞く必要はない」と言っているのは確かである。選挙時の自分の公約すらも守れないような議員が、「自分の言動に責任を持って判断すればいい」と自慢げに言っている部分については、笑うほかはない。

 なお、この議事録中の上杉議員の発言を通して読むと、早く解体・更地化して、その後に国の補助金で新しいハコモノを建設したいという意図があちこちに散見されるが、今回のコロナ騒動で先進国中最悪の日本政府の借金はさらに膨らみつつある。県と市もコロナ対策で財政緊迫化がさらに進行中である。新しいハコモノに使う巨額の補助金が国から降ってくる可能性など、今後はほぼゼロに等しいのではなかろうか。デジタル化・IT化の促進以外の分野では、「今あるものを大切に使う」ことこそがコロナ後の日本で求められるようになるのは必至だろう。

 上杉氏や竹内前市長のような、国からのカネを使って無駄な公共事業を乱発することで、自分の選挙の際の業界票を確保し続けてきた「自分の街や国の将来よりも、自分の座る椅子の確保の方を最優先する政治家」が日本の国家予算を無駄に浪費した結果、この国は一体どうなったのか?
 公的教育費支出対GDP比については、OECD36カ国とその他4カ国の計40カ国中で日本は39位、ブラジルや南アフリカにも劣り、日本よりも下にいるのはロシアだけという惨状だ。学校のデジタル化進展率でも、日本はOECD諸国中で最下位だ。国から大学への研究費が年々削減が続いたために、若手研究者の多くは研究者への道を断念。その結果、「影響力の大きい論文トップ10位」以内の論文数では、2019年時点でオーストラリアやカナダにも抜かれて日本は世界九位にまで後退した。かっての「科学立国、日本」のスローガンはどこへ行ったのだろうか?
 また、行政のデジタル化への投資も不十分であったために、現在の日本の行政効率が先進国中最低レベルにあることは今回のコロナ騒動で露呈した通りだ。社会保障費の個人負担も年々増すばかりである。愚かな政治家どもが、「無駄な事業を乱発して自分の支持者にメシを食わせる」ことしか考えてこなかった結果がこれなのである。

 彼らの頭の中は、約50年前の田中角栄氏の「列島改造論」の時代から一歩も進歩していない。時代の変化に合わせて政策を方向転換できないような化石化した政治家には、早々に退場してもらった方が国民・市民のためになるというものである。

  ①-3
 なぜ、鳥取市の市議会事務局は、未だに市議会傍聴者による撮影や録音を認めようとしないのか?

 さて、先日、当会会員が上杉議員の発言内容確認のために市議会事務局に当時の録音の有無を問い合わせたところ、「議事録を作成したので録音は既に消去済み」とのことであった。何だか、国会の「モリカケ疑惑」や「桜を見る会騒動」での政府答弁を連想させるような返事であったらしい。
 このような「議事録の改ざん疑惑」を招かないためにも、市議会事務局は傍聴者による撮影や録音を早急に許可するべきである。鳥取県議会ではもう十数年も前の片山前知事の時代から、本会議も各委員会も全て撮影・録音可能となっている。国会の委員会でさえ重要会議はテレビ中継しており、当然、視聴者の録画・録音も可能である。市議会事務局には、市議会の本会議と各委員会での傍聴者による撮影・録音を未だに拒否し続ける理由を明らかにする説明責任がある。


「質問②」 再度、公開質問状を提出。水害発生時の詳細な避難計画を改めて問う。

 当会が市長に提出した「旧本庁舎を指定避難所に再活用」の案はあっさりと拒否され、代わりに鳥取駅北側の中心市街地での浸水時の避難先として十か所の「指定緊急避難場所」が示された。国が示した「指定避難所」の設置基準によると、「想定される災害の影響が比較的少ない場所にあること」となっている。どの程度をもって「災害の影響が比較的少ない」とするかの判断は、各自治体に任せられているようである。

 鳥取市の指定避難所を見ると、全てが想定最大浸水時に浸水が無いと予想される場所に立地しているので、鳥取市の場合には、公表されてはいないが「浸水が無いと予想される」ことが現状の選定基準となっているものと解釈される。「避難所の選定基準を現状よりも緩めよ」と主張する気はさらさらないので「旧本庁舎を指定避難所に再活用」案は撤回するが、従来から述べているように旧本庁舎が中心市街地に残された「市民の貴重な財産」であることに変わりはない。当会としては、今後も市民の意見を聞きながら、市民と共に旧本庁舎の有効活用方法を検討していく予定である。

 さて、中心市街地の浸水時の避難先として市が示した十か所の「指定緊急避難場所」であるが、具体的な運用方法については不明のままなので、当会としてはこの機会に再度質問状を提出してその市の避難計画の詳細の公開を求めることとした。下に示す公開質問状を既に先日の7/16付で提出済である。

 「鳥取市の水害発生時の避難体制に関する公開質問状」

 質問内容の概要は以下のようになる。質問としては全部で八項目。今後の避難体制準備の参考としていただきたい。

  ・各避難所での必要物資の備蓄体制
  ・各避難所への物資供給体制
  ・各避難所・緊急避難場所の避難者収容能力
  ・避難所でのコロナ感染対策

 なお、回答希望日を今月末としているが、担当部署である危機管理課への提出の際に、同課から「回答が若干遅れる可能性が高い」との見解が示された。多少の遅れはやむを得ないが、内容を詳細に検討したうえで、机上の空論ではなく「緊急時にも十分実行可能な避難計画」を提示していただきたいものである。

「質問③」 市の政策では経済合理性が全く考慮されていない。

 市長回答は質問①と同様に、「市民の代表である市議会が第二庁舎の解体を決めた以上は、既に決定済」というものであった。これに対する当会からの反論は、本庁舎解体に関する質問①の回答に対するものと同様である。選挙の争点にならなかった問題については、あらためて市民の意見を直接問うべきである。我々市民は、全ての政策について当選者に白紙委任しているわけではない。

 「解体後に跡地を売却する計画は無い」とのこと。この質問は、当方が「市財政上の損失を減らすために当然跡地は売却するもの」と思い込んでいたことによるものだが、解体後の跡地を平気で放置し続けるつもりなのだろうか?
 市長は「跡地の活用は今後の議論にまかせる」と言うのだろうが、既に指摘したように、面積が狭小であること等により、何もしなければ解体後の跡地は更地として放置され続ける可能性が高い。これが民間企業であったなら、1.25億円も使って工場を解体することだけを決めておいて、その跡地を全く利用もせずに放置し続けるような無責任な経営者は、株主による損害賠償請求訴訟を起こされかねないだろう。

 自治体行政においては、経済合理性が最優先だとは言わない。福祉、教育、格差解消等々、経済合理性に反しても絶対に実施しなければならない政策は数多く存在する。しかし、この第二庁舎の問題に関しては、あえて経済合理性に反して考慮しなければならない点などは何もないはずだ。解体費1.25億円の出費だけを早々と決めておいて、その結果・効果に対しては市民の発想に一任というのでは、市長と市議会は極めて怠慢かつ無責任というほかはない。

(/以上)


・旧本庁舎を災害時の避難所として再活用しよう!(2020.06.15)

 鳥取市によって早急な解体に向けた準備が進められている旧本庁舎ですが、当会はこの方針に「異議あり!」を唱えたいと思います。当会は、市中心部に全く存在しない災害時の「指定避難所」として旧本庁舎を再活用する案を提案、今月始めの6/3に深澤市長宛ての公開質問状として提出しました。以下、この提案の背景について述べます。

(1)鳥取市の指定避難所の現状

 水害、震災、大火事等の災害時の避難所として、現在、鳥取市は一時的に非難する場所として「指定緊急避難場所」を市内459カ所、自宅に住めなくなった方が夜を過ごす場所としての「指定避難所」を市内30カ所に既に指定済みです。
 「災害時における指定緊急避難場所・指定避難所(2020.4.1更新)」

 「指定緊急避難所」と「指定避難所」の区分については下の図を見てください。どんな災害時でも「指定緊急避難所」にいったん逃げればよいというわけではなく、水害時専用とか震災時専用とか、色々と指定が細かく分かれています。それに対して「指定避難所」は、どのような災害時でもとりあえずは一定期間の避難生活を安全に送れる施設とされています。

 

 問題は、この「指定避難所」の立地する位置にあります。下の地図中に「指定避難所」の位置を赤い丸で示していますが、現在は市の郊外地区のみにあり、市の中心地区には全く存在しません。東は国府町「万葉の郷」周辺、南は津ノ井地区、西は東郷地区体育館や湖山地区、北は中之郷や浜坂地区まで行かなければ「指定避難所」に逃げ込むことはできません。被災して自宅に住めなくなった市の中心部(地図中の青線で囲った地域)の住民は、いったいどこで夜を過ごせばよいのでしょうか。大災害時に、湖山や津ノ井まで避難するための安全なルートが確実に確保できるでしょうか。

   

 鳥取市は老朽化した鳥取市吉成にある市民体育館の建て替えを計画中ですが、建て替え後の同体育館に「指定避難所」としての機能を持たせる動きがあるとも聞きます。しかし、最新の市防災マップによれば、同体育館の周辺の大半は想定される最大浸水深さが3~5mとのこと。体育館だけをかさ上げするとしても、周辺の住民はどうやって体育館に避難すればよいのでしょうか。各世帯がゴムボートを準備する必要があるのではないでしょうか。
 なお、同体育館の解体・建設・維持管理は、2038年までの予定でスポーツ用品メーカーとして有名なミズノグループに総額55億円で委託することが既に決まっています。なんでも外部企業に業務委託してばかりいる最近の鳥取市ですが、今後、市職員はいったいどんな仕事をして給料をもらうつもりなのでしょうか?
 「鳥取市民体育館再整備事業」

 さて、最新の市防災マップによれば、旧本庁舎周辺の想定最大浸水深さは0.5~3mとなっています。旧版の防災マップでは旧庁舎周辺での想定浸水深さは、その大半は1m未満、または50cm未満となっており、駅周辺、及び駅南地区に比べれば水害被害がはるかに軽微となることは確実でしょう。さらに、すぐ隣には日赤病院があり医療支援体制の充実も期待できます。最近のコロナウィルスの感染でも話題になりましたが、大規模な感染症が発生した場合には、市内や県内の既存の病院だけではベッド数が足りなくなることは明らか。いざという時に大人数が収容可能な公共施設としては、旧本庁舎はまさに最適な位置に立地していると言ってよいでしょう。

 最近の千代川水系では年々氾濫の危険性が高まるばかり。もはや、いつ氾濫が発生しても不思議ではない状況です。2018年7月の「西日本 平成30年七月豪雨」の際には、市内の河原町では堤防越水して氾濫するギリギリ直前の事態にまで追い込まれました。以下に当時の記事を紹介しておきますが、当サイトの「鳥取市の公共料金・防災」のページの記事も参考としてください。

 「鳥取)豪雨で20万人に避難指示 県内の住宅や道路被害」
 「西日本豪雨 河川ポンプ、一時停止 浸水被害相次ぐ 鳥取・吉成地区 /鳥取」
 「鳥取)被害額は土木86億円、農林19億円 西日本豪雨」

 緊急災害時の安全な避難場所の確保こそ、現在の鳥取市政の最重要課題に他なりません。

(2)旧本庁舎を耐震改修して継続使用することの意義

 上に述べたように、「鳥取市の中心市街地における指定避難所」の確保は喫緊の課題ですが、中心市街地では旧本庁舎や第二庁舎以外には適切な公的建築物は見当たりません。中心市街地の大半が予想浸水深さ0.5~3m又はそれ以上となっていることを踏まえれば、少なくとも二階建て以上の大面積建築物が必要です。市が公表している指定避難所の選定基準は、「概ね250人以上の避難者を収容可能な施設 。収容人数は避難有効面積を1人あたり概ね2m2で算定。」となっています、即ち、二階又は三階以上の床面積が少なくとも500m2以上あることが必要です。最近のコロナウィルスの感染リスクを踏まえれば、一人当たりに必要な床面積はさらに広げるべきでしょう。

 旧本庁舎は六階建てで床面積は6,809m2、第二庁舎は五階建てで2,252m2、避難所の床面積としては十分です。約百億円をかけて新築した新本庁舎は七階建て、床面積は19,820m2もありますが、現在、市は災害時の避難所としての新本庁舎の使用を認めていません。

 当会からの市長への公開質問状では、旧本庁舎は六階を四階に減築する案を提示しています。これは上の階の荷重を減らすことで耐震化を容易にすることを想定しているためですが、費用が許せば現状の六階のまま耐震改修する選択肢もあり得ます。

 また第二庁舎に関しては、今回の公開質問状では、「現在予定している早期解体・跡地売却の方針では完全な赤字となることは明白であるにもかかわらず、なぜ解体を急ぐのか」という質問に留めましたが、市中心部にさらに大面積の公共施設が必要とされる場合には、第二庁舎を耐震改修して継続使用する案も考えられます。第二庁舎は柱が各階の室内に露出している構造であり、耐震補強は旧本庁舎よりも容易で安価に実現可能との指摘もあります。

 市長あての公開質問状の中にも記載しましたが、避難所としての使用以外にも旧本庁舎を残すことの意義は数多く考えられます。当会としての提案を以下にまとめて挙げておきます。

 ① 災害時には「指定避難所」として活用する。

 ② 平常時には、公共展示場としての利用や各種市民団体の拠点として活用。ただし入居団体は、災害時には事務所を明け渡し避難所に転用することに同意した団体のみに限定。

 ③ 旧本庁舎の駐車場は無料で市民・観光客に開放、周辺事業者には低料金で提供する。これにより鳥取城址を含む周辺地域での観光・商業活動の活性化を促進する。

 ④ その他の多様な活用法も考えられるが、市民が主体の委員会を立ち上げ、この委員会の議論によって具体的な活用方法を決めることが望ましい。

 ⑤ 旧本庁舎を解体するための費用は、過去の概算見積もりによれば約3億円。その跡地に新たに床面積数千m2の建築物を新たに建てようとすれば、さらに数十億円の費用がかかることは明らか。新本庁舎建設開始後、市の負債は急速な増加に転じており、新たに大きな公共施設を建てる財政的な余裕はない。既存の施設の有効活用を図るのが最善の道。


(3)現在の「早期解体方針」は、市民の意見を一切聞くことも無く、市議会の「調査特別委員会」が主導して決めたもの

 市長宛ての公開質問状の前半でも指摘していますが、現在の「旧本庁舎・第二庁舎の早期解体方針」は、市議会の「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会」の九名の議員によって主導されたものです。この与党議員等による「早期解体方針」に対して「まず市民の意見を聞くことが優先」との意見も出ましたが、結局は昨年6/5開催の同委員会で多数決による採決によりこの方針が決定されました。この採決が行われるまでの経過で、同委員会が市民からの具体的な意見を確認したことは一度もありません。「市民の貴重な財産である旧本庁舎と第二庁舎」を、解体後に跡地をどう活用するかとの議論もないままに、解体することだけを拙速に決めてしまったことは、まさに無責任極まるというほかはありません。

 この市議会の委員会とは別に、市長が指名した委員11名に公募委員3名を加えた「現本庁舎等跡地活用に関する検討委員会」が二年前に発足、今年の三月で活動を終了しました。同委員会の最終報告書には、跡地活用方法については「多くの市民から意見を聴取するべき」ことが再三強調されています。
 また、同報告書は「活用策を多くの市民が納得できる形で決定するには、①妥当性、②透明性、③客観性、④合理性、⑤公正性等を確保することが求められる。」とも述べています。市議会特別委が、市民の意見を全く聞くことも無く、また旧本庁舎と第二庁舎の継続利用の可能性について具体的な検討を一切行うことも無いままに早々と「早期解体方針」のみを決めてしまったことは、まさに「妥当性、透明性、客観性、合理性、公正性の全てを欠いた行為」と評するほかはありません。

 市は、市民に対する広範なアンケートを今年度中に実施する予定ですが、そのアンケート内容の選択肢を早期解体を前提としたものに限定するのであれば、「市民の貴重な財産を市自ら壊す」ことになるのは明らかです。このアンケートは、旧本庁舎と第二庁舎の継続使用も含めた、市民の自由な意見の表明の場とするべきであると考えます。

 なお、この公開質問状の中では当会が希望する回答希望日を6/19(金)としましたが、現在六月定例市議会を開催中であることを考慮し担当窓口の企画推進部政策企画課と調整した結果、回答希望日を今月末の6/30(火)に変更しました。引き続き、市長からの回答にご注目ください。深澤市長には、市民に対する真摯な回答をお願いしたいと思います。

/以上


鳥取市の市議会事務局は、なぜ市民の議員控室への立ち入りを認めないのか? (2020.05.14)

 先日の記事の「特別定額給付金」10万円の鳥取市での支給遅れの問題に併せて、面会した市議某氏から、もう一つ気になることを聞いた。それは、昨年11月の新市庁舎への引っ越し以降、市議会事務局が、議員控室への市民の入室を断固として拒否していることだ。

 旧本庁舎では、市民が気軽に議員控室を訪問することができた。筆者も何度か各会派の控室を訪れて、相談なり打ち合わせをした経験がある。ところが新庁舎に移ってからは、議会事務局が市民の議員控室への入室を拒否し続けているそうである。各会派が理由を問うても、事務局は明確な理由を明らかにしていないそうだ。他の自治体では、このような事例は全く聞いたことが無いとのこと。このような立ち入り制限は、まさに全国で鳥取市だけなのではないか?新庁舎七階の下図の赤い四角で囲った部分が、現在は市民立ち入り禁止となっている議員控室の位置である。

 

 市議会事務局は何かカン違いをしているのではないか?そもそも、新市庁舎は市職員の所有物ではない。市職員が自分のカネを出してアレを建てたのなら好きにすればよいが、市民と国から集めた税金で建てた以上は、新市庁舎の本来の所有者が鳥取市民であることは明らかである。市民は、便宜上、日常の管理を市職員に委託しているに過ぎない。市職員が鳥取市民の市庁舎の特定部署への立ち入りを制限するためには、それ相応の理由が必要である。大のオトナが、その理由もはっきり言わずに「ここには入るな」とだけひたすら繰り返している現状は、実に大人げなく、ミットモナイというほかはない。自分の子供にも笑われるぞ!

 そもそも、市会議員は市民が選挙で選んだ「市民の代表」なのである。市民が、自分たちがその建設費用を負担した市庁舎の中で、自分たちの代表に会うのがなぜダメなのか?市議会事務局長は、今まで拒んできた根拠を明らかにするとともに、議員控室への市民の立入禁止処置をすみやかに撤回するべきである。

/以上


各世帯10万円のコロナ対策特別定額給付金、なぜ鳥取市は他市よりも支給が遅れるのか?
  郵送申請による支給は、米子市よりも約一カ月も遅い! 
(2020.05.12)

 先日、相談したい事があり、鳥取市会議員の某氏にお会いしてご意見を伺った。主要な話が片付いて雑談していると、議員某氏が「コロナ対策で全世帯に支給されることになった例の10万円だが、鳥取市の支給日程がよその市に比べてずいぶん遅いのですよ。後で国からカネが来ることは判っているのだから、予備費を使って至急対応すればいいのに。トップが指示すれば済むことなのに、本当に何もしようとしない!」。筆者は、「トップの指導力のなさは、国のコロナ対策と一緒ですね。」と一緒に笑ってその場は済ませたが、後で気になったので各自治体の対応の実情を調べてみることにした。
 この「特別定額給付金」の県内四市による支給日程の比較を下の表に示します。他の自治体についても、「自治体名+特別定額給付金」で公式サイトを検索すれば、その自治体の支給日程を確認することが出来るはず。

 
 この中で、オンライン申請はマイナンバーカードを持っている人だけが可能。このカードを持っている人は全人口の一割強らしいから、大半の人は郵送による申請を選択することになる。
 一般的にはオンライン申請の方が受け付け開始が早い。郵送による申請では、米子市は特例を設けて今月初めから申請を受け付けているが、鳥取市は米子市よりも約四週間近くも遅れた5/27になってようやく申請可能になる。しかも振り込み開始が週末の金曜日なのだから、実際に口座から引き出せるのは最速でも6/1(月)となる見込みだ。他の倉吉市、境港市の対応に比べても鳥取市の動きは遅い。

 さらに、家庭内暴力から避難中であり現在の住所を明かしたくない「DV避難者」に対する説明文も、倉吉市が掲載している日本で働いている外国人向けの説明文も、鳥取市の公式サイトにはいっさい無い。「社会的弱者に対して極めて冷たい鳥取市」と言わざるを得ない。

 なお、オンライン申請の各自治体別の状況については、内閣府が設置した下記の「マイナポータル」のサイトを参照されたい。このトップページの一番上にある「申請受付開始団体一覧」をクリックすると、昨日5/11現在で既にオンライン申請を開始した自治体の一覧が出て来る。

「マイナポータル」

 鳥取県内では、全19自治体中、14自治体で既に受付を開始している。鳥取市は県内でも受け付け開始が一番遅いランクに入るだろう。隣りの島根県では8市中7市が、岡山県では15市中13市が既に受付を開始。中四国9県の県庁所在地で未だに受付を開始していないのは、広島市と鳥取市の二市だけである。人口約120万人の広島市はさておき、この県庁所在地9市の中で鳥取市が一番人口が少ないにもかかわらず、である。いかに鳥取市の動きが「のろい」かがよくわかる資料と言ってよい。

 コロナによる休業で収入が途絶えたことで、今後は自殺を選択する人が続出するとも言われている昨今、この鳥取市の動きの遅さを一体どう評すればいいのか。「コロナで倒産企業がいくら出ようと、市役所の中にいる自分たちは絶対に安泰」なのだから、のんびり仕事をしていればいい、「自宅で仕事できるだけ分だけラッキー」とでも思っているのではないか?

 次の記事は、自殺対策支援のNPO法人の代表からの痛切な訴えである。既に一部では生きるか死ぬかの選択を迫られている人が出てきているとのこと。この叫びに答えて国が支援を増額しても、実際に困窮している人に対する窓口となる鳥取市が相変わらず「市の正規職員には優しく、市民には冷たい」対応を続けているようでは、救える命も救えなくなることは明らかである。

「異次元の生存支援」で、新型コロナの影響から自殺を防げ」

 コロナ対策と言えば、深澤市長が市内初の感染者の感染経路を隠蔽しようとしたことは、既に全国的にも話題になっている。下記の記事は5/10付の全国版MSN(マイクロソフト)ニュースに掲載されたものである。筆者はこの初感染の顛末の詳細を追ってはいないが、結局、この感染者が立ち寄った先の具体的な店名などは、未だに明らかになっていないのではないか。

「感染経路不明、拭えぬ不信感 1例目巡る鳥取市長の対応 」

 さて、このように隠蔽体質、かつ何事につけても仕事が遅い鳥取市であるが、下の県公式サイトに見るように、鳥取市職員の昨年の給与は例年と同様に県内自治体中で一番高いのである。他自治体に対してだけでなく、県職員に比べても月額にして約二万六千円も高い。もちろん、これは市の正規職員に限った話であり、市職員の約半数を占める非正規職員や企業からの派遣職員の給与は、市からは何の説明もないが、おそらくはこの半額以下だろう。他市に比べてその比率が著しく高い非正規職員や派遣職員の低賃金が、鳥取市の正規職員の高給を陰で支え続けているのである。

「平成31年地方公務員給与実態調査の概要」

 そもそも、我々有権者が市職員からの出身者を市長に選んだ以上、このように「身内には優しく、市民には冷たい」市政となることは元から予想された話ではあったのだが・・・。次の市長選まではまだ二年近くもあるが、それまでは上に紹介したデータを忘れずに記憶し続けていただきたいものである。

/以上


どこまで進む?鳥取市の業務外注化 -旧本庁舎・第二庁舎の跡地活用検討の業務すらも業者に丸投げ!-(2020.04.23)
 鳥取市が約100億円もかけて新築した新本庁舎は、再三の雨漏り(「鳥取新庁舎 また雨漏り 昨年と同じ箇所で」)にもめげずに順調に稼働中と言ってよいのだろうか。その一方で、既に閉鎖されている旧本庁舎と第二庁舎については、「早期解体の方向」だけは決まったものの、解体してその跡をどうするのかについては市長からの提案が一向に出てこない。そう思っていたら、なんと、市がこの跡地活用検討の業務を民間企業に丸投げしようとしていることが判明した。こんな業務まで外注化して、いったい市職員自身はどんな仕事をするつもりなのか?
 以下、市の業務委託方針の概要を説明しておこう。

(1)跡地活用に関する市民からの意見聴取・アンケートを民間企業に丸投げ

 業者の公募については既に4/16で参加の受付を終了しているが、本日4/23時点では、まだ何社が応募したかについての情報は公開されていない。次の市公開サイトに詳しい業務内容と応募要領が載っているので参照されたい。4/2にこのサイトを公開すると同時に公募を開始しているから、おそらく市は公開前から何社かに事前に打診しているのだろう。金額規模から見て、既に市内に事業拠点を持っている企業の応募を想定しているものと見込まれる。

「旧本庁舎・第二庁舎跡地活用検討支援業務」公募型プロポーザルの実施について

 近いうちにこの市のサイトが消されてしまうかもしれないので、サイト中にある実施要領と仕様書のPDFファイルも載せておこう。

 旧本庁舎・第二庁舎跡地活用検討支援業務公募型プロポーザル実施要領   旧本庁舎・第二庁舎跡地活用検討支援業務仕様

 主な内容は以下の通り。

「予算上限額」 来年三月までの期間中費用の上限は約718万円。

「業務内容」 
 ・他都市における跡地活用の事例調査
 ・市内各種団体との意見交換
 ・市内四エリアにおいて一エリア当り三回の会合(ワークショップ)を開催し、市民・地域のニーズを把握する。
 ・市民二千人を対象とするアンケートを実施。
 ・市民向けPR資料の作成

「業者選定日程」
  4/2~4/16  参加意向表明書の受付
  4/17~4/30 参加申し込み及び提案書の受付
  5/13    選考委員会
  5月中旬   選考結果の通知・公表

 この計画の問題点は、何と言っても市内四地域で開催するワークショップの内容であろう。この市サイトに公開されている業務仕様書には、以下の文章がある。
「 ・4エリア(旧市、東部地域(国府・福部)、南部地域(河原・用瀬・佐治)、西部地域(気 高・鹿野・青谷)で各1回実施
  ・各エリア3テーブルを想定
(なお、参加者の選定、参加依頼(募集)、会場確保は市が実施) 」

 上記の赤字下線部に注目されたい。「参加者は市が選定する」と言っているのではないだろうか。そうだとしたら、これで市民の本当のニーズが把握できるのか?市が人選すれば、主に市長の意向に忠実な者が選ばれることは明らかである。ワークショップを開くのであれば、市民の参加・傍聴は自由とし、参加者には制限をつけないのが当然である。

(2)市が当然行うはずの業務を民間に委託するのなら、その委託費分だけ市職員の給与を減らすべき

 本来、市民からの意見聴取やアンケートなどの業務は、市職員自らが行うのが当然のはず。今までは市職員自らが担当していた。特に特殊な技術や能力を必要とする仕事では無く、この案件に限って外注化する意味が分からない。市自ら実施して当然の仕事を民間企業に丸投げしておいて、市職員はいったいどのような仕事をしようというのか?
それほどまでに市民に直接向き合うのが怖いのか?

 この業務を担当する担当部署(企画推進部政策企画課?)は自らは仕事をしないのだから、その分職員を減らすか、あるいは部署の人件費を718万円分減額するのが当然であろう。
「働かざる者、食うべからず」が民間の常識なのだが、鳥取市役所の中では「市の業務を民間にどんどん丸投げして仕事量を減らしても、職員給与はずっと右肩上がり又は現状維持」なのか? コロナウィルスの感染拡大が止まらない中、これから民間企業がバタバタと倒産しそうな今の時期、このような話を聞くだけでも本当に腹が立つ!!!

 新市庁舎の窓口で直接に市民と応対する職員は、そのほぼ全てが東京の大企業であるニチイ学館からの派遣社員になってしまったと聞く。市の正規職員が市民の生活面の苦労を自分の耳で直接聞かないようでは、市民に優しい血の通った市政ができるはずもない。

 市がその費用の大半を負担している東部広域行政管理組合が、三百億円以上の巨費を投じて河原町山手地区に建設中の新可燃物処理場では、その建設と稼働後10年間の運営の全てを、国内製鉄業界二位のJFEの子会社であるJFEエンジニアリングに既に丸投げ済みである。業務内容の詳細にうとい組合職員は、JFEが出して来た見積もりを精査する能力を既に失っているように見える。市の本来の業務を次々と民間企業に丸投げすることで、市職員の行政能力・業務遂行能力は確実に失われて行きつつある。

 鳥取市の負債残高は2015年を底に、2017年の新市庁舎の建設開始以降は急速な増加に転じている。これにさらに新可燃物処理場の建設費用が加わるのだから、今後の更なる負債の増加と市財政の窮乏化は確実である。上に紹介したような外注への丸投げ政策を続ける余裕は、もはや鳥取市には無いのである。
(/以上)
 
 

旧市庁舎跡地の利用方法についての懇談会を開催しました。(2020.02.07)

 1/25に遷喬地区公民館において「旧市庁舎跡地利用に関する懇談会」を開催しました。以下、概要を報告します。

(1)参加者による意見交換
 前もって参加をお願いしていた地域関係者、市民団体代表者、合併旧町村住民、元市会議員の皆様に当会役員を交え、総計十二名が一人五分程度の時間で各自の持論を説明。その後、当日参加者も交えての意見交換を行いました。なお、現職の市会議員に参加を求めなかったのは、現在の市議会各会派の枠を超えて、まずは市民による自由な意見交換の場の実現を意図したためです。

 この跡地問題に関する今後の当会の取り組みについては、今回の懇談会で出た意見を踏まえて、現在、会の内部で検討中ですが、会員外からの議論への参加も大いに歓迎します。土曜日午前中の当会定例ミーティングに積極的にご参加ください。

 各自の主要な意見の概要を以下に示します。細部については省略した点もありますがご容赦願います。

 「1/25懇談会 発言内容の概要」

 旧市庁舎跡地の利用策を議論する以前に、まず鳥取市全体の振興策の検討を優先すべき。その内容が固まっていく過程でこの跡地利用方法についても自然と順当なところに落ち着くであろうというのが、この懇談会の参加者の大方の総意でした。
 市全体の振興策についてはきれいごとのスローガンの羅列にとどまり、具体的な政策の議論に一向に踏み込もうとしない市当局に比べれば、今回の懇談会の参加者の姿勢は、鳥取市の抱える問題に正面から向き合おうとしていると感じました。

 以下、当日出た意見を内容別に整理しておきます。

 ① 具体的な跡地利用方法
   無料駐車場
   第二庁舎は民間に売却
   市営住宅建設、政策的に中心市街地の居住人口を増やす
   本庁舎、第二庁舎ともに解体せず、市民活動の拠点事務所として利用
   市民が気軽に集まることができる広場

 ② 市全体の街づくりに関する提言

 (a)「市内各地の交通インフラの確保」 
   くるりバスの活用
   バス停撤去後の足の確保が必要
   卯垣、緑ヶ丘、(若葉台?)にJR新駅設置
   バス始発点を市民病院に

 (b)「産業・観光振興、交流人口増加」 
   若桜・智頭街道沿いの市場(いちば)化
   中山間地産の食材の拡販
   「やる気のある若い人」が集まることができる仕組みづくり
   鳥取では都会に比べて老人施設入居費用が安いことをもっとPR
   有機農業振興
   空き家活用

 (c)「地区の特色を育てる」
   旧袋川以北を「元気な老人が集う街」、「安心して子供を育てられる街」に

 ③ 市政の進め方に関する提言
   当会やその他の市民団体と、現職の議員や行政担当との連携を強化すべき
   市のパブリックコメント制度は既に形骸化しており、中学校区ごとの説明会を復活させるべき
   市長が委員の大半を指名する現行の委員会制度は、「民意を聞いたふり」をしているに過ぎない。委員会制度の改善が必要。

 なお、参加者の中には自説を紹介するための資料を持参された方が数名おられましたが、その中の一部を紹介しておきます。旧本庁舎跡地を「緑の広場」とし、久松山からとりぎん文化会館、この「緑の広場」を経て樗渓公園(鳥取東照宮)へと続く「まちなか美観地区」を形成しようという壮大な構想です。一読をお勧めします。なお、資料の三枚目と四枚目は、この構想が実現した時に実施を予定しているイベントのイメージです。

 「まちなか美観地区」構想資料


(2)懇談会当日の配布資料
  参加者の理解ために、当日に下記の資料を配布しました。この跡地問題を考える上での参考としてください。

 ① 市による「跡地活用」検討の経過

  2018/02 市議会に「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会」(以下「調査特別委」)を設置。
  2018/春 市と市議会に対し、市内の芸術関係者が跡地に市独自の美術館建設を要望。
  2018/08 市長指名委員による「現本庁舎跡地活用に関する検討委員会」(以下、「検討委」)を設置。
     (委員14名中11名は市長が指名。残り3名が公募委員であり、市民7名が応募。当会幹事2名も応募したが共に落選。
      選出された公募委員3名のうち2名は鳥取青年会議所の役員。)
  2018/12 市議会改選に伴い「調査特別委」を再構成。委員9名、岡田委員長、勝田副委員長。
  2019/02 商工会議所が「旧本庁舎の速やかな解体」と「跡地に複合型公共施設(生涯学習センター、芸術文化ホール等)
      の整備」を求める要望書を市長に提出。
  2019/07 「調査特別委」が中間報告で「旧本庁舎の速やかな解体」を提案。九月議会で報告。
  2019/12 旧本庁舎及び第二庁舎解体工事の実施設計業務費用、総額1770万円の予算案(うち7割は来年度に実施)を
      12月定例本会議で可決。

 ・「調査特別委」では、2019/6頃までは「現状のまま利用」(与党側)、「六階を四階に減築し利用」等の案も出ていたが、
   結局は「速やかな解体」が主流意見となった。
 ・市の過去の試算によれば、旧本庁舎の解体費用は約3億円、第二庁舎は約1.25億円。
 ・「調査特別委」では市側は具体的な跡地利用に関する案を全く提示せず。これには与党側も含めた議会側から再三催促があった。
 ・過去五回開催された「検討委」では、跡地利用の具体的な議論には全く踏み込まず、市民意識調査のためのアンケート等の日程
   の議論に終始。

 ② 鳥取市の財政状況 -市債残高(市の借金)は急速に増加中-


 左のグラフに示すように、市の借金である市債の発行額は最近急増しており、2017年度からは市債発行額が市債償還額(市の借金の返済額)を大きく上回っている。その結果として市債残高も急速に増加中。この原因が約100億円を要した新本庁舎の建設費等にあることは明白である。
さらに、総額206億円を要する可燃物処理場の建設が既に始まっているが、この費用の大部分は鳥取市が負担しなければならず、今後さらに市債残高が増えることは確実。
                     (↑ 鳥取市の予算・決算資料より作成)            

 一方、市の歳入については、近年の市税収入は230億円台で横ばい。国からの地方交付税については、2020年度(令和2年度)は今年度よりも約4.2億円減額の見込みであり、ピークの2013年度の258億円からは、実に約35億円もの減額になると予想されている。

 今まで市が頼りとしてきた合併特例債については、借入限度額545億円に対し昨年春の段階で491億円を既に借入済みであり、今後の財源としては、もはやあてにはできない。今後は高齢化でさらに社会保障費用は膨らみ、かつ、公共施設の老朽化対策費の増加も必至と予想され、鳥取市が自由に使える財源はますます枯渇していく一方である。このような財政状況の下では、旧市庁舎跡地での新たな巨大ハコモノ建設はほぼ不可能と予想される。

/以上  


旧市庁舎跡地の利用方法について、私たち市民自身で考えてみましよう。(2020.01.05)

 (1)「旧市庁舎跡地利用シンポジューム準備会」開催のご案内

 正月三が日も早や過ぎ去り、新しい年の計画や構想づくりに着手すべき時節となりました。本年も当「市民の会」へのご支援をよろしくお願いいたします。

 さて、今年の鳥取市政の大きな課題のひとつとして、旧市庁舎の跡地の活用方法の議論が挙げられます。市は過去約二年近くにわたって市会議員からなる特別委員会、及び民間委員からなる検討委員会を立ち上げて議論を重ねてきましたが、これら二つの委員会によって現在までに決められたことは「旧市庁舎を早急に解体」するというただ一点でしかありません。解体後の具体的な跡地利用方法については今まで全く議論されていないのが現状です。

 こうした状況を見るにつけ、私たち「市民の会」は、新たな時点に立って、「私たちの手で市民が求める街づくり」の方向を探っていこうと考えるに至りました。 そして、今私たちがなすべき事は、今こそ民主的市政の根幹である「市民の声に真摯に耳を傾ける事」であり、「それを具体的にまとめて行政当局に提案していく」ことであると考えています。その手始めとして、今年の春には、多くの市民に呼び掛けて「旧市庁舎跡地利用をきっかけに鳥取市の活性化を考える」シンポジウムを開催することを計画しています。以上の経過につきましては、 既に先月12日付で各報道機関宛てに送付した文書「市民の会の新たな一歩(PDF)」も併せてご覧ください。

 この準備作業として、この1/25(土)に「旧市庁舎跡地利用シンポジューム準備会」を開催することにしました。この準備会においては、なるべく多くの市民による多様な意見を出し合いながら互いの一致点を見つけ、どのような案が市民にとって最良の利用方法であるかを探っていくことが最大の目標です。跡地利用に深く関係されると思われる皆様には既に参加要請文をお送りしておりますが、そのほかにも、この跡地の利用方法に関心のある方、意見をお持ちの方、全てのご参加を歓迎いたします。
 
 *「旧市庁舎跡地利用シンポジューム準備会」の開催について

  ① 参加者
    市政の民主化と旧市庁舎跡地問題について関心を持つ下記の方々に呼び掛けて参加して頂き、検討を開始する。
      有識者、地域関係者、市民団体代表者、合併旧町村住民、一般参加者、及び「市民の会」理事、事務局員

  ② 日時・場所
      会場 遷喬地区公民館 会議室
      日時 2019年1月25日(土) 午後14:00~16:30

  ③ 問題提起者:当会理事及び事務局から2名    司会者:当会理事及び事務局から2名

  ④ ここでの議論を土台として、次の課題である「旧市役所跡地利用についてのシンポジウム」の構想をまとめていきます。


 (2)当会組織体制の変更について

 当会は、その前身である「市庁舎新築移転を考える市民の会」を2011年3月末に設立して以来、来年春で設立九年目を迎えます。2014年12月に位置条例可決により市庁舎新築移転が決定してからは、現行の「開かれた市政をつくる市民の会」へと会の名称を変更し、引き続き市庁舎新築事業に対する監視を続けると共に、市政の透明性を要求していく活動を行ってきました。このたびの新市庁舎への移転完了を契機に当会の体制を変更し、引き続き市政全般に対する監視と、衰退著しい鳥取市の現状に対する提言を行っていきたいと思います。詳しくは、先月上旬に当会会員及び関係者宛てに送付した文書「今後の活動方針について(PDF)」をご覧ください。

 今回の会の体制の主要な変更点は次の二点です。なお、従来の役員・主要メンバーは、引き続き役員としてとどまります。

 ① 従来の「会長(1名)- 常任幹事」の体制から、「代表理事(3名)- 事務局」の体制へ移行。
 ② 当会の定例打合せの日時を、従来の「毎週水曜日 午前10:00~12:00」から「毎週土曜日 午前10:00~12:00」に変更。

 定例打合せの日時を土曜日の午前中に変更したのは、より幅広い層の市民に参加していただきたいためです。鳥取市政に関心のある方は、どなたでも結構ですのでご参加ください。支持政党や思想・信条の違いは問いません。これからの鳥取市を少しでも良くするために、市政に関する疑問、意見、提言等について、一般市民と当会会員とが共に話し合う場にしていきたいと思います。
 なお、2020年の最初の打ち合わせは、当会事務所において 1/11(土) 10:00からを予定しています。ふるってご参加ください。

/以上


深沢市政二期目もすでに半分近くが経過、昨年三月の市長選時の公約の実施状況は?(2019.12.31)

 昨年三月の市長選から来春ではや二年になろうとしています。相変わらず活気に乏しい鳥取市の現状ですが、深沢現市長が市長選の際に約束した公約は実現しつつあるのでしょうか。主な公約について改めて検証してみました。なお、ここをクリックすると昨年三月の選挙公報に掲載された深沢市長の公約を読むことができます。

 (1)「ひとづくり - 子どもは鳥取市の宝です」

 この項目の最初には、「子育てプロジェクトを推進し、出生数2000人を目指します」と書いてあります。

 一方で、鳥取市の年間出生数の実際の推移は左のグラフのようになります。(「鳥取県の推計人口、時系列データ」より)

 11月末時点までの今年の出生数累計は1235人。2000人に近づくどころか、前年の1442人を大きく下回る1300人台で終わることはほぼ確実な状況です。

 それにしても、深沢氏が一期目に市長に就任した2014年以来、ほぼ一貫して出生数が減り続けているというのに、誰が見ても実現不可能な2000人を目標として掲げたのは、いったいどういうわけでしょうか?あまりにも選挙民をナメているとしか思えない数字です。

 おそらく、実際のデータの確認すらせず、2000人に到達するための具体的な手段も何一つ考えないままに、選挙公約だけのための架空の目標に過ぎない出生数2000人を、エイヤッとその場の気合だけで決めたのでしょう。市政を預かる首長としては無責任極まりない話です。これでは、「子供は鳥取市の宝」とのせっかくのスローガンも、口先だけの言葉としか思えません。

 さて、出生数にも関連する話なのですが、鳥取市の人口減少が一向に止まりません。左に2010年以降の鳥取市と米子市の推計人口(毎年10/1現在)の推移の比較を示します。(「鳥取県の推計人口、時系列データ」より)

 鳥取市の場合、この九年間で4.41%、8709人も減少、これに対して米子市の減少は0.41%、604人に留まっています。

 お隣の県都、松江市との比較でも、松江市では2019/11月末現在の登録人口が202,113人と、いまだに20万人台を維持しています。同時点での鳥取市の登録人口は187,034人、既に19万人を割り込んでしまいました。2004年の「平成の大合併」の時に、「山陰初の二十万都市誕生!」と市の幹部が大いに自慢していたことが、ずいぶんと遠い昔のように感じられます。

 さらに問題なのは、鳥取市の人口減少は年々加速傾向にあり、最近の四年間では毎年千人以上の減少となっていることです。今後、人口減少のペースが今のままだとしても、2025年の国勢調査時にはさらに17万人台にまで転落している可能性も大きいものと予想されます。この責任は、この九年間、市の経済の衰退を放置したままで新市庁舎をはじめとする巨大ハコモノ建設ばかりに狂奔してきた市当局と、それを一貫して支え続けてきた「会派新生」と「公明党」を主とする市議会与党にあることは明らかでしょう。

 人口の話題では、もう一点指摘しておきます。近年、鳥取市はその公式サイト等を通じて、「鳥取市が「住みたい田舎全国ランキング総合一位」に選ばれました!」とさかんに宣伝し続けててきました。その記事の一例としては、「祝3冠!住みたい田舎ランキング総合1位「鳥取県鳥取市」」等々が挙げられます。

 では、実際の移住者数はどうなのでしょうか?県の公式サイトのデータ(「鳥取県への移住状況について、H30年度」等)から作成したグラフを下に示します。2018年度における人口一人当たりの移住者数で見れば、鳥取市は県内19自治体中の下から3番目に過ぎません。鳥取市の値は全四市中では最低、境港市の約三分の一、全県平均や倉吉市の約二分の一でしかありません。それどころか、2016年度には県内全自治体中での最下位を記録しています。これで、どうして鳥取市が「住みたい田舎日本一」なのでしょうか?

 答えは簡単。このランキングは宝島社という東京の出版社が、鳥取市の発注に応じて移住実績をなんら考慮するところなく作っているものに過ぎないからです。当然、市からはかなりの費用が同社に支払われているはず。情報公開請求をすれば、すぐに過去の同社への支払い総額が明らかになるでしょう。

 許せないのは、深沢市長以下の市執行部が市民から集めた税金を使って、このように意図的に「実態を反映しない、自分たちをよく見せるためだけの情報」を、要するに、フェイクニュースを作っていることです。実際に移住者を増やすことには税金を使わないで、うわべだけをよく見せるために、自分たちがちゃんと仕事をしているふりをするために、多くの我々の税金を使っているのです。こんな市広報に騙されて拍手しているようでは、鳥取市民は「前代未聞の底なしのお人よし」と言われかねません。

    

 さて、上のグラフを見ると、地理的に恵まれている日吉津村や湯梨浜町はさておき、日南町、岩美町、若桜町、日野町などの中山間地や山地の自治体がずいぶん頑張っていることがわかります。他の自治体もこれらの自治体を見習って、我が町をよくするため、人口を増やすために一層奮闘していただきたいものです。グラフが込み合うのを避けるために、上のグラフからは中位の自治体を省きましたが、下にあらためて2018年度の全自治体の数値を載せておきますので、ご参考まで。


(2)まちづくり

 深沢氏の公約の「まちづくり」の項目には、色々と立派な公約がたくさん並んでいます。いわく、「「地域生活拠点」の整備、「地域運営組織」の立ち上げ支援に取り組みます」、「「ふるさと・いなか回帰」を促進します」等々。これらの公約の実現のためには、まず各地域の住民と直接に対話してその要望や意見を十分に把握することが当然必要なのですが、その点についてはどうでしょうか?

 毎年、鳥取市では市内各地で「地域づくり懇談会」が開催されるのが慣例となっています。例年は約三十カ所前後で開催されるのですが、今年度はたった七カ所でしか開催されませんでした。七月に市長が入院したことが理由とのことです。市長が出席できなくても副市長が出席していればそれで十分なのではないでしょうか。羽場副市長の仕事の中身とは、いったい何なのでしょうか?

 市の個々の方針の詳しい説明については普通は担当者が行うものですし、必ずしも毎回市長が出席しなければならないというものではないはずです。市長の入院を理由に、市政にとっては最重要であるはずの市民との直接対話の場を一切止めてしまうようでは、より住民のニーズに即した鳥取市政が実現できるはずもありません。
 市の幹部たちは、よほど住民と直接向き合うのが怖いのでしょうか?市民と直接向き合う貴重な場であるはずの市の窓口業務は、「ニチイ学館」という東証一部上場の東京の大企業に丸投げ、市民との懇談会も上に見るように理由をつけてはさっさと中止。

 市の幹部連は市民の目の前から逃げ出して、新庁舎の会議室にこもっているだけではないのか? 彼らは、この鳥取市に対して、いったいどんな付加価値を生み出しているというのだろうか? それなのに彼らの給料は、民間はもちろんのこと、県職員よりも多いのです。

 さて、この地域づくり懇談会のもう一つの問題点は、年々参加者が減少しているということ。左上のグラフは、この懇談会一回あたりの参加者数の平均値の推移を示しています。特に深沢市政二期目の昨年度からは参加者数が激減しています。

 あたりさわりのない無内容な答弁ばかりしている市長にあきれはてて参加しなくなった市民は多い、との話も聞こえてきます。また、現状のように時間の制限、質問数の制限ばかりしている懇談会の形式では、市政に対する市民の関心が高まるはずもありません。二年で全地区を回る現状の体制どころか、一年に全地区を二回でも三回でも回って市民の意見を直接聞くくらいの積極的姿勢が必要とされているはずです。

 さて、この「まちづくり」のところには、「現本庁舎跡地の将来像について、市民のみなさんとともに検討を始めます。」という表現もあります。この「市民のみなさん」との表現が、市民からの公募委員三名を含む「現本庁舎跡地等活用に関する検討委員会」のことを指しているのだとしたら、この委員会の公募委員の選定の仕方に疑問があることは、既に、2018.10.11の当サイトの記事で指摘したとおりです。三名の公募委員中の二名は、共に鳥取青年会議所の役員の二名が当選。当会の幹事二名も公募委員に応募しましたが、二人ともそろって落選しました。

 市長の言う「市民のみなさん」とは、「市長にとって都合のいい市民」だけに限られているようです。他の委員11名は全て市長の指名によって選ばれる委員であり、市民の意見を公平に代弁しているとは到底言えません。

 そのようにして選ばれたこの委員会ですが、今まで約一年半、五回の開催を経て決めたことは、今後、各界の意見聴取やアンケートなどをどういう流れで実施していくかという方式論に終始しており、具体的な跡地利用の中身についてはいまだに何一つ議論されていないようです。要するに、市長任期も半分を過ぎようとしているのに、いまだに跡地利用の検討には実質的に未着手なのです。このままでは、この跡地がこれから何年も放置され続けることはほぼ確実でしょう。

 このような官製委員会に期待しても、今後まともな構想が出て来るとは到底思えません。私たち「市民の会」では、この跡地利用に関心のある市民が自発的に集まって、皆で意見を出し合いながらこの跡地の将来像について考える場を設けることに決めました。別の記事であらためてご案内しますので、この問題に関心のある方、跡地利用に関してご意見をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

 深沢氏の公約については他にも突っ込みどころが満載ですが、全部を指摘するのは当方としても大変な作業になりますので、今回はこれくらいにしておきます。

/以上


新本庁舎は完成したが・・「鳥取市の明?と暗!」 -写真で見る鳥取市政の現状-(2019.10.08)

 先日の10/1、新本庁舎の完成記念式典が関係者だけを招いてひっそりと開催されました。この機会に、今の鳥取市が抱える問題点を写真の形でまとめてみました。題して、「鳥取市の明?と暗!」

(1)市庁舎
 ・「約100億円の巨額の税金を投じて新築した新本庁舎」(2019/10/1撮影)

 約10年前、「現本庁舎は耐震基準を満たしておらず、震度6強の地震で倒壊の恐れがある」との耐震診断結果を市に提出したのは市内の設計会社「白兎設計」。同社はこの新庁舎の設計も担当した。10年前の仕事が新たな受注を生んだことになる。

 この耐震診断の根拠となる現本庁舎の強度計算については、「計算上の強度が低くなるように、実際の構造を反映していない計算条件を故意に選んでいる」との専門家からの指摘がある。


 ・「現本庁舎」(2019/10/3撮影)

 2012年住民投票で投票者の六割が支持した「現庁舎耐震改修案」の建設費用の見直しを要求し、
再見積もり額の約33億円が高いとの難癖をつけて同案を葬り去ったのは市議会与党の「新生・公明党・その他」。

 近い将来に震度6の大地震が来た際に、「現本庁舎が耐震診断どおりに壊れなかったら立場的に困る」と思ったのか、市議会与党と市長は、最近になって急に「現本庁舎の早急な解体」を決定した。しかし、跡地をどうするかについては、現時点では 何一つ決まっていない。


 ・「旧国府町役場」(国府町宮下 2019/06撮影)
  閉鎖してから七年間も放置されたままの旧役場の建物。既に手すりなどは赤サビだらけ、県道沿いに無残な姿をさらしている。本庁舎を新築するカネはあっても、廃庁舎を解体する費用は出ないらしい。
    


(2)市内の市有施設は荒れ放題

 ・「太閤ケ平近くの市管理の東屋」 (2019/05)
  ベンチの板は外れ、柱が傾いているのに、もう何年も放置されたまま。
 

 ・「レーク大樹横の室内グラウンドゴルフ場」 (2019/06)

 建屋の屋根に数カ所の穴が開いたまま何年も放置されてきたが、昨冬になってやっと屋根の穴をふさぐ工事だけを実施。しかし、場内の隅にはゴミが放置され、雑草が生えるにまかせている。

 右側の赤い四角の部分の窓ガラスはこの春に破損したが、数か月の間、その破片が周囲に散乱したままであった。今でもこの窓にはガラスがはまっていない。



 

 ・「樗谿公園の柵 」(2019/10)

 壊れて柵の役目を果たしていないが、これも永年放置されたまま。
 「新しく作るのには熱心だが、壊れても修理はしない」のが今の鳥取市の体質。








 ・「市内某所の市営住宅」 (2019/07)
 左下写真の部屋は、ガラスが破れ、引き戸が外れた状態で三年以上(?)も放置されている。市の財産を手入れもせずにほったらかしておいていいのか?鳥取市の公営住宅に関する支出は近年減少傾向。
   


(3)市が実施した各種事業、その成果は?

 ・「皆様ご存知、何のために作ったのか意味不明な駅前の「バードハット」」(別名:ダラズハット) (2019/10)

 「鳥取駅前太平線再生プロジェクト整備事業」の名のもとに、10億円超の税金を投入して2013年に完成。以来、太平線通り東側のパチンコ店二軒がつぶれ、昨年は西側の鳥取大丸が清算処理。近くの駅前商店街には空き店舗が目立つ。事業名にある「再生」の文字が哀しい。
  

 ・「駅前の県有地を買い上げて、専門学校に建物ごと無償提供」(2019/10)
 駅前一等地にあり駐車場として使用されていた県有地を、市が買い上げてビルを建設(総費用は5億円以上)。大阪の医療専門学校に土地と建物を30年間タダで提供。












 ・「設備能力過剰な江山浄水場」(市公式サイトより)

 2010年に全面供水開始した江山浄水場、浄水場建設と新たな配管工事のために数百億円を投資した。対象人口が同規模の米子・境港市の上水道に比べて、鳥取市上水道の累計投資額は約400億円も多い(1995年~2015年の期間で比較)。
 昨年四月の水道料金の大幅値上げ(標準使用量世帯で25%の値上げ)は、歴代市長によるこの過剰投資がその主因である。

 江山浄水場の浄水能力は8万m3/日だが、現在の実際の浄水量は最大時でも6.3m万3/日に過ぎない。設備能力の二割以上が一年中全く動いていない。今後、人口減少と高齢化に伴ってさらに能力が余ることは確実。市は「今後の料金値上げについては未定」としている。


 ・「入居企業が一向に増えない河原町山手工業団地」(2019/08)

 河原町山手地区の丘陵地を大規模に切り崩して造成した山手工業団地。2015年に分譲開始したが入居企業は長らく一社のみであった。やっと今春にもう一社が入居したが、雇用者合計は推定で100名強でしかない。

 2012年時点での地元への説明資料によると、この団地の計画事業費は約44億円となっている(隣接する可燃物処理場や周辺集落の上下水道増設費用を含む)。果たしてこの巨額投資が今後回収できるのか、大いに疑問だ。

 さらに地元企業からは、「市が誘致した企業が高賃金を提示したので、優秀な社員がそちらに転職してしまった」、「我々が収めた税金を使って市が優遇した企業に社員を取られるのは、絶対に許せない!」との声も聞かれる。


 ・「河原町の可燃物処理場の建設・運営費用に330億円超」(2019/08)

 上記の山手工業団地に隣接して、今年の夏、2022年夏に運転開始の予定で可燃物処理場の建設工事が始まった。左の写真の右奥の建屋は建設業者のプレハブ宿舎であり、処理場の建物はこの奥に建設される。

 鳥取市と県東部四町からなる広域行政管理組合がこの工事の発注元であり、昨年五月に実施した入札結果によると施設の建設費用が206億円、運転開始後20年間の運転委託費用が130億円であり、いずれもJFEエンジニアリングが受注している(消費税8%で計算)。建設費についてはその85%を鳥取市が負担することになっている。運転費についても同様の負担割合になるものと予想される。

 なお、この施設の可燃ゴミの計画処理能力は240ton/日であるが、2017年の県東部の可燃ゴミ発生量の平均値は157ton/日に過ぎない。発生量のピーク値を確認する必要はあるが、既にゴミ発生の実態よりも設備能力が過剰となっている可能性が指摘される。県東部の可燃ゴミ発生量は年々減り続けており、人口減と高齢化で今後さらに減ることは確実である。

 あれほど紛糾した新本庁舎の建設費用の三倍を超える巨額事業であるにもかかわらず、市と広域行政管理組合は市民に対して説明会を開催するなどの情報提供も皆無なままに、また採択日時も未公開なままに、管理組合議会(議員18名中、12名が鳥取市議会議員)は昨年九月にこの事業案を賛成多数であっさりと可決してしまった。


(4)まとめ

 他にも紹介したい写真は数多くあるが、キリがないので今回はここまでにしておきたい。表題を「明?と暗!」としたものの、今の鳥取市政には明るい話題と言えるものがほとんどない。市民生活の将来を不安にさせる暗い話題ばかりだ。

 市は、新本庁舎や新可燃物処理場を明るい話題として提供したいのかもしれないが、無くても済んだはずの余計な負担の押し付けを市民が歓迎するはずもなかろう。新本庁舎や新可燃物処理場の巨額出費が、市民サービスのさらなる低下、ゴミ袋代・上下水道料金・各種手数料等々の値上げとして、今後、我々の肩にのしかかってくることが十分に予想される。

 これら一連の失政の第一義的な責任が、竹内前市長、その路線を引き継いだ深沢現市長、さらに彼らに一貫して同調し続けてきた市議会与党議員にあることは明らかである。しかし、我々市民の側には何の責任もないとも言い切れない。2012年の市庁舎新築移転を巡っての住民投票以降の、市関連の各種選挙の投票率を以下に示す。

 2012/05 住民投票 50.8%
 2014/04 市長選  53.0%
 2014/11 市議選  53.0%
 2018/03 市長選  31.5%
 2018/11 市議選  41.7%

 市庁舎問題を巡って三人の候補が争った2014年の市長選、および、未だ市庁舎問題の帰趨が見えなかった2014年の市議選をピークに、それ以降、市民の市政への関心は一挙に低下した。昨年の市長選の投票率はわずか三割、市民に身近な問題の解決手段となるはずの市議選でも四割でしかない。約三分の二の市民は「誰が市長や議員になっても同じ」と思っているか、現市長に白紙委任しているかのいずれかなのではないだろうか。

 しかし、
「誰が市長や議員になっても同じ」では、決してない。2014年の市長選において「現本庁舎の耐震改修」を公約に掲げた鉄永候補が当選さえしていれば、この100億円の新本庁舎は今頃は存在しなかっただろう。「生ごみのリサイクル・堆肥化」を選挙期間中に熱心に唱えていた同候補のことだから、既に建設に着手した巨額の可燃物処理場に簡単に同意することもなかったはずだ。

 市民の市政への関心が弱まるほどに、市長と与党議員の独断で市政を進める傾向は強まる。その結果が上に示したような「市民サービスの低下」、「巨大ハコモノ建設最優先、そのツケは市民の将来負担」の現市政を招いたのである。

 当サイトの6/23付の先回の記事で述べたように、今年六月には現庁舎跡地に関する議論の中で、与党議員の一部が「我々は選挙で選出された代表なのだから、(市民の意見を聞く必要はなく、)我々が方針を決めればよい」との思い上がりも甚だしい発言をし始めている。このような議員をこれ以上増長させないためにも、我々市民の将来負担を少しでも減らすためにも、鳥取市民の皆様には、今一度市政への関心を回復していただきたいと思うしだいである。

/以上


市役所現本庁舎は早期解体の方向-調査特別委中間報告書作製へ (2019.06.23)

 現本庁舎の早期解体の方針が明らかとなってきましたが、解体したあとの跡地利用方針については、いまだに具体的な議論が全く始まっていません。この問題の現状と問題点について以下報告します。

(1) 6/5の市議会「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会」の内容

 今回は本会議で報告する「中間報告」の方針を決めるとのことで再び傍聴。結論としては、「現本庁舎の早急な解体・撤去」に賛成する委員が五名(上杉、吉野、朝野、米村、平野、加島)、反対は「市民の意見を聞いてから方針を決めるべき」とした岩永委員ただ一人であり、早期解体・撤去の方針が決定された。先回の記事で指摘したように、「近いうちに大地震が来て現本庁舎がビクともしなかったら、自分たちが新築移転に賛成した根拠が失われる」ことを憂慮した面々が、「一刻も早い解体・撤去」を急いだのではないだろうか?

 さて、今回の委員会を傍聴していて気になった発言があった。それは、上杉議員の「我々は選挙で選出された代表なのだから、我々が方針を決めればよい」との発言である。先回4/23の委員会でも、上杉議員と同じ会派新生に所属する吉野議員が同じ内容の発言をしていた。
「市民の声を聞かないで、議員だけで決めればよい」と彼らは言っているのである。実際、2014年12月に市議会で、本庁舎の位置を移す位置条例が市議会の三分の二以上の賛成によって可決されて新築移転が決まって以降、市執行部が鳥取市民に対して跡地利用に関する広範な意見聴取を実施したことは一度もない。

 市民が参加して跡地利用について述べる機会が設けられたのは、唯一、市民からの公募委員三名を加えた「現本庁舎等跡地活用に関する検討委員会」だけであるが、この公募委員に応募した七名中には当会の幹部二名が含まれているが、この二名は理由も示されず落とされ、代わりに公募委員三名中のうち二名もが鳥取青年会議所という団体から選出されているのである (2018/10/11当サイト記事を参照)。

 この鳥取青年会議所の拠点は鳥取商工会議所ビルの中にあるが、その鳥取商工会議所会頭の藤縄氏は、今年二月に「現本庁舎の早期解体撤去とその跡地に複合型公共施設の建設を求める要望書」を深澤市長あてに提出している。これだけを見ても、この市民公募委員を加えた委員会があらかじめ書かれた筋書きに沿って動いていることはあきらかだろう。この委員会は、市民の民意を汲み取ったように見せかけるためのアリバイ作りのための委員会に過ぎない。しかも、この委員会自体、この二月に開かれた第三回を最後に現在休止状態である。なお、この第三回委員会の中で、市側は「現段階で市民にアンケートを取ることは考えていない」と明言している。市は、跡地利用について市民の意見を聞くつもりなど初めから さらさらないのである。

 さて、上杉、吉野の両議員は昨年11月の市議選の際にどんな公約を掲げていたのだろうか。当時の選挙公報をご覧いただきたい。吉野議員の公約には本庁舎跡地に関する内容はなに一つ含まれていない。いったん当選した以上は、選挙で公約した政策以外のことについても自分の思うがままに決めることができると思うのは、思い上がりも甚だしいと言わざるを得ない。有権者は選挙で当選した議員に全権を委任したわけではない。自分が選挙で公約した以外の政策についてはあらためて有権者に意見を問うのが、市民の代表としての議員の原理原則であるはずだ。

 上杉議員に至っては、跡地利用の問題にわざわざ触れて「市民の意見等を踏まえる」と公約に掲げておきながら、当選後の現在、「我々が代表者になった以上は、市民の意見など聞かなくてかまわない」と、自らの公約と真反対の発言を議会の場でおおっぴらに公言しているのである。昨年の市議選時の公約は完全なウソであり、有権者に対する背信行為にほかならない。このように、鳥取市議会における与党の市民無視、増長、傲慢は、最近さらにその度合いを増しているのである。


(2)今の跡地利用方針の混迷の現状は、つまるところは深澤市長の無為無策が根本原因
 
 跡地利用に関する委員会を傍聴していて感じるのは、市の執行部がいっこうに利用の基本方針を示そうとしないことである。今回、とりあえずは解体に向かって進み始めたが、その後の跡地をどうするのか、市の、根本的には市長の意志が全く見えないのである。執行部が方針を示せないのであれば、せめて市民の意見を聞いたらどうかと思うが、上に述べたようにその気配も全く見せていない。本来、市民の財産であるはずの現本庁舎を、市長と市幹部と与党議員の専有物と勘違いしているように見える。形だけのアリバイ委員会を作ってうわべをごまかすのではなく、アンケート等を通じて直接市民に問いかけるべきであろう。

 現在の鳥取市の衰退は、いずれも役人あがりの歴代市長が、一貫して国のカネを引っ張って来てのハコモノ建設のみに邁進、市民生活向上に向けた政策をなおざりにしてきたことに根本原因があると思う。深澤現市長は、当初は竹内前市長に後継指名されていやいやながら出馬したと聞いてはいるが、市政に対する自分の意志を元々持っていない分だけ、さらに市政の停滞を深めているようにみえる。某市議によると「何事にも消極的な市長だが、自分の地元自治会の土地を買い上げての、あのムダな空港周りの県道を建設しようとした時だけは、やけに積極的に発言していた」とのこと。


 最後に、最近の鳥取市の衰退ぶりを如実に示す指標として鳥取市人口の推移を左に示しておこう。比較のために米子市の人口推移も合わせて示す。このデータは県の統計から引用しており、2005,2010,2015年については国勢調査結果を示している。

 合併直後の2005年から2018年までの13年間で、鳥取市の人口は実に5.8%、11,650人も減少。同じ期間中に、米子市の人口減少はわずかに0.9%、1322人に過ぎない。
 深澤市長の一期目2014年から鳥取市の人口減少率は更に加速し、2019年5月末現在の鳥取市登録人口は187,455人、既に19万人のラインを大きく割り込んでいるのである。


 「住みたい田舎ランキング一位の鳥取市」とは、市民の税金をつぎ込んでの、市長の自作自演、自画自賛のパフォーマンスでしかないのではないか?竹内前市長が大言壮語していた「二十万都市構想」とやらは、いったいどこへと消えたのだろうか?今の市政のままでは、鳥取市の衰退は加速するばかりなのである。「中核市だ」とは威張ってはみても単なる肩書だけにすぎず、いたずらに税金の無駄遣いを繰り返しているだけの今の鳥取市の実力と魅力は、近隣各都市に比較すれば無きに等しい。

/以上


市役所現本庁舎の跡地利用検討の現状について (2019.06.01)

 いよいよ今年の秋には市役所本庁舎が駅南へ移転される時期を迎えますが、現在の本庁舎の跡地利用問題については一向に進展が見られません。市民の代表者を集めたはずの「現本庁舎跡地等活用に関する検討委員会」」も二月に第三回の会議を開いたものの、明確な結論は何一つ決まらないままに以後中断されています。そのような中、4/23に開催された市議会議員による委員会を傍聴しました。時間がたってしまいましたが、現在の検討の内容に関するコメントを付け加えて以下に報告します。

 なお、次回の「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会」は6/5(水)10:00から本庁舎六階で開催予定です。多くの方の傍聴を期待します。

(1)4/23の市議会「本庁舎跡地等活用に関する調査特別委員会」の内容

 先月4/23に市議会の市議九名により構成される上記委員会を傍聴。市執行部からの提示方針は、「現本庁舎は解体の方向、ただし、跡地利用の具体的な利用方法については何も決まっていない」ということであった。以下、市執行部から示された基本情報を示す。

・現本庁舎解体撤去費用 約3億円。第二庁舎解体費用 約1.25億円。合計で約4.25億円。(資料1参照のこと。ただし、これらは2011年1月時点での試算結果であり、現時点での見積もりはない)

・庁舎解体には合併特例債は適用されないので、解体費用全額が市の一般会計の負担となる。

・他自治体での旧庁舎活用事例の調査結果 69自治体から回答あり。
  現庁舎の改築場所            :旧庁舎とは別の場所に新築 48%、旧庁舎と同じ場所に建て替え 52%
  別の場所に新築の場合、旧庁舎の活用は? :全部を活用中 15%、一部活用 15%、活用していない 70%

  旧庁舎を全部または一部活用の10例の活用先:庁舎8、庁舎以外の公共施設4、一般への貸付3
  上記活用事例10例における耐震性確保は? :減築して耐震性を確保1、元々耐震性がある9

  新築移転後、旧庁舎を活用していない23例での旧庁舎及び跡地の活用方針は?(複数回答可)
   <解体・解体予定> 駐車場11、公園整備7、公共施設整備6、売却3、貸付2、病院誘致1、道路用地1、未定1、
    検討中6   <検討中>3   <未定> 2

  旧庁舎及び跡地利用での市民合意形成の手段は?
   市民説明会の開催・意見聴取等13、検討委員会等の開催9、パブリックコメントの実施6、市議会への説明4、
広報誌掲載・資料配布2、ワークショップ開催2、アンケート実施1、検討中5、無し2


 以上の説明を元に委員間での議論が行われた。大勢としては、現本庁舎の早急な解体に賛同の委員が五名(加島、朝野、吉野、平野、上杉)。これに対して岩永委員からは「一等地でもあり、市民の意見を聞きながら討論すべきであり拙速に決めることは避けるべきだ」との意見。米村委員からは「現状が六階建てであるのを四階建てに減築して耐震性を高める方向で概算費用を出すべき」との声があり、執行部は「減築の概算費用を試算して次回報告する」と回答。なお、岡田委員と勝田委員はそれぞれ委員長と副委員長の立場にあるため、個人としての意見は表明しなかった。
 
 岡田委員長からは、次回の委員会(6/5 10hより)で方向性を決めて六月定例議会に中間報告を出したいとのコメントがあり、次回で跡地利用の方向が決まることになりそうだ。

・「傍聴しての感想」
 昨年11月の市議選による改選前の昨年9月に、この委員会が当時の構成メンバーによる最終報告書を提出しているが、その中で市執行部は早期に跡地活用策をまとめるべきと提言している。当時は、本庁舎の扱いについては「さらなる検討」が必要としていた。それから半年以上たった現在、商工会議所から「本庁舎の解体撤去」の提案があったこともあり、意見の大勢は本庁舎解体へと傾きつつある。
 議論を傍聴していて感じたのは、深澤市長以下の市執行部も、上杉議員をはじめとして解体に基本的に賛成している議員も、ともに跡地活用の議論を積極的にリードしようという姿勢がまったく見られないことである。いったんは住民投票で新築移転案が否定されたにもかかわらず、あれだけ執拗に耐震改修案を攻撃し、ついには同案をひっくり返して約百億円もの税金を投入しての新築移転案を決めたのは彼らなのである。その結果として生じた現本庁舎跡地利用の問題に対し、当然、責任を持つべきのも彼らなのであるが、具体的な跡地利用案の一つすら提出しようとしないのは無責任というほかはない。巨額のハコモノ建設さえ決まればよいのであり、目的を達した以上は、その後始末には何の関心もないということだろうか?


(2)現本庁舎と第二庁舎の耐震診断結果について

 現本庁舎の建て替えを巡っての議論の発端は、2008(H20)年に実施された本庁舎の耐震診断で(市内業者の白兎設計が692万円で受注)、本庁舎は「耐震基準を満たしておらず、震度6強の地震で倒壊の恐れがある」と判定されたことにある。第二庁舎についても同時期に同じく「耐震基準を満たしていない」との判定結果がでている。(詳細は H22年 鳥取市庁舎耐震対策検討委員会報告書を参照のこと) この判定結果は現在でも絶対的な信用を得ているようであり、上に報告した4/23の委員会の議論の中でも、「安全を第一に、本庁舎はまず解体」(平野委員)、「地震がいつおこるか判らず耐震基準を満たさない建物は放置できない。日赤側に倒れたら迷惑をかける。」(加島委員)等の発言が相次いでいた。

 しかし、この判定結果を本当に信用してよいのだろうか?新築か現庁舎の耐震改修かをめぐる議論の中で、2011年7月には元建設省建設研究所の幹部であった専門家が数多くの疑問点を指摘しているのである。詳しくは当時の読売新聞鳥取版の記事を参照されたい。なお、この記事の公表に対する見せしめだろうか、この記事の掲載の直後に当時の読売新聞鳥取支局の支局長は他の支局へと異動させられている。

 白兎設計の本庁舎耐震診断結果に対して、この記事中で専門家が指摘した疑問点は以下のようになる。建物の実際の構造を無視して意図的に耐震性を低く見積もったことは明らかだろう。

① 軽量コンクリートの重量を実際より重く見て計算。(→ 荷重を重くすると耐震性の評価は悪化する。以下、②、③によっても同様に耐震性は悪化。)
② 現庁舎で採用の曲面スラブという軽量化技術も無視し、実際よりも重く見て計算。
③ 階段室隅の「斜め壁」等の耐震性を高める工夫の効果も無視、単なる荷重と見なして計算。
④ 上の指摘点を修正して、実態に即して再計算すべきだ。さらに、県庁の耐震化工事で行われている「常時微動測定」を現市庁舎でも実施して、実際の耐震性の確認を行うべきである。
    

 ③について詳しく説明すれば、上の現庁舎設計図の「隅補強壁」(斜め壁)は、壁の接合部にかかる力を分散させて破壊を防ぐための極めて一般的な手法である。実際の階段室の写真を右上に示す。現本庁舎は庁舎の中心部にこの斜め壁の手法によって壁強度を高めた階段室二つと、その間にあるエレベーター室二つによって、庁舎の中心部に破壊に強い中心軸を有する構造となっているのである。
 隅を斜めにしたり曲線部にしたりする手法は、「応力集中を分散させる手法」とも言い工学的には常識の範囲。建築士の資格を持つほどの人間がこの手法を知らないはずはない。この部分を単なる荷重として計算するというのは、完全に故意による偽装行為にほかならない。 2005年に発覚した、あの「A建築士による耐震偽装事件」と真逆の構図なのではないだろうか?

 第二庁舎の耐震性評価結果については今のところ具体的な疑問点は指摘されていないが、本庁舎と同様に耐震診断を白兎設計が受注しており、その信頼性に疑問符が着くのも当然のことだろう。なお、現在建設中の新本庁舎の設計には白兎設計も加わっている。仮に、10年前に耐震性を故意に低く評価したことで現在の受注を獲得したのだとしたら、ずいぶん手回しのいい会社だと言わざるを得ない。

(3)当「市民の会」からの提言

・「第二庁舎」

 第二庁舎に関しては、そもそも現状が耐震基準を満たしていないことにあまりこだわる必要はないのではないか。「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(平成7年成立、平成25年11月改正)によれば、法律により耐震診断を行い所管行政庁へ耐震診断結果を報告することが義務付けられる建築物としては、「保健所、税務署その他の公益上必要な建築物の場合、階数3以上、かつ床面積の合計5000㎡以上」となっている。一方、第二庁舎は五階建て、延べ床面積2252㎡であり、耐震基準を必ず満たさなければならない建物、すなわち「要緊急安全確認大規模建築物」の対象にはならない。実際、市の公式サイト自身で公開している「要緊急安全確認大規模建築物」のリストの中で、市庁舎関連で挙げられているのは現本庁舎だけであり、第二庁舎はこのリストには入っていない。要するに、第二庁舎を今後も現状のまま市庁舎として使い続けることが法律的に禁止されているわけではない。

 さて、「法律上の問題はなくても、第二庁舎は老朽化しているはずだから市庁舎として使用するのは問題」という声が出てくるのかもしれない。だからと言って一気に解体してしまうというのはいかがなものか。高額な費用を要して1989年に明治生命から購入した貴重な市の財産でもあり、以下で活用方法を考えてみたい。

①解体せず賃貸、又は売却がベスト

 2011年時点での解体費用見積もりは1億2500万円であり、現在ではさらに上昇している可能性が高い。一方、第二庁舎に一番近い公表されている地価の公示価格としては敬愛高校南側l隣接地が挙げられるが、ここの2019年における公示価格は8.65万円/m2である。これに第二庁舎の敷地面積641m2を掛けると、解体・売却による市の損益は、8.65×641-12500=-6955、即ち、少なくても約七千万円程度の損失が出るものと予想される。

 上に述べたように、市庁舎として使用している現在でも、第二庁舎の使用において耐震診断や担当官庁への報告が義務付けられているわけではない。まして、「病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物および学校、老人ホーム等の避難に配慮を要する方が利用する建築物」にはあたらない一般企業の事務所等に使用するのであれば、その耐震性について使用者が納得しさえすれば賃貸や売却することについてはなんら問題はないだろう。鳥取市内には、耐震診断を行わなず建物の耐震性を知らないままに平気で使用を続けている小型のビルは掃いて捨てるほど存在しているのである。解体せずに民間に賃貸するか、可能ならば売却するのが最善の策であると考える。

②第二庁舎の耐震補強は容易

 売却する場合、購入者が耐震性に不安を持つのであれば、購入者自身の費用で耐震補強を施せばよい。第二庁舎は、五階全てを貫通する鉄筋コンクリート(RC)の柱が何本もあるが、壁の中に柱が埋め込まれている本庁舎とは異なり、左の図に見るように柱が壁から分離しているので、柱に鉄板を巻きつけて柱強度を上げる等の補強工事は簡単に可能なのである。

 また、そもそも白兎設計の耐震診断結果が妥当なものであったのかどうか、大いに疑わしいものがある。例えば、診断結果ではコンクリート強度は最上階の五階が一番強く、下層階は皆それよりも低いとしているが、コンクリートの劣化は雨が強くあたる上層階ほど激しいのが普通なのである。
 

③第二庁舎を売却すれば市に固定資産税が入る

 所有権が市から民間に移れば、市には毎年固定資産税が入るようになる。そのことを考慮して、市に損失が発生しない範囲内で売却価格を安く設定すればよい。いずれにしても、直ちに解体して更地にするという現在の方針では余分な費用が発生して市民負担がさらに増すだけである。若桜街道沿いにある近隣の建物の現在の一番の問題点は、駐車場がないことである。第二庁舎に付属している駐車場に加えて現本庁舎駐車場の使用も認めれば、賃貸や購入に意欲を示す民間業者はかなり多いものと予想される。

・「現本庁舎」

 現本庁舎も第二庁舎と同じく鉄筋コンクリート(RC)構造であるが、第二庁舎と異なり柱が壁面に埋め込まれているため、個々の柱について補強工事を行うことは不可能であり、簡単な工事によって現状の六階建てのままで耐震性を高めるのはかなり困難な構造となっている。4/23の調査特別委員会では「即時解体」と「六階建てを四階建てに減築して耐震性を高める」の二案が提出されている。ここでは減築して使用することの効果について触れてみよう。

① 鳥取市内では市民活動で利用する公共施設が不足気味

 鳥取市内の公共施設としては県営・市営の数多くの公共施設があるが、週末や休日のイベントや集会のための広い会場は不足気味であり、人気の施設では半年くらい前に申し込まなければ予約がとれないケースもある。また、小グループによる市民の文化活動拠点の確保も、公共施設に限定した範囲内ではなかなか探すのが困難らしい。このような中、市営の福祉文化会館は耐震性の問題により将来的には利用廃止の方向と聞いており、市民活動の拠点となる公共施設の不足にさらに拍車がかかりそうな状況である。従って、仮に現状の六階建てが四階建てや三階建てになっても、現本庁舎を減築してでも公共施設の面積を一定量確保しておくことは望ましいことと考える。現本庁舎の構造では大きな集会室を設けることは無理だろうが、小部屋を多数確保することは現状のままでも可能であり、小グループの活動拠点としては適当であると思う。

② 現本庁舎を完全に更地にしてしまえば、県庁方向への人の流れがさらに減る

 今でも若桜街道沿いの商店街、特に若狭橋から北側では営業している商店はわずかであるが、今年秋に本庁舎が駅南に引っ越してしまえば、若桜街道は完全に「さびれたシャッター通り」と化してしまうだろう。昨年度から五年間の計画で始まった「第3期鳥取市中心市街地活性化基本計画」でも、計画区域は「鳥取駅周辺地区と鳥取城跡周辺地区を核とし、その2つの核をつなぐ若桜街道と智頭街道を軸とする、二核二軸を中心とした約210ha」のままであり、以前からの「二核二軸」の街づくりの基本構想は現在も変わっていないのである。せっかく総理大臣から認定を受けた計画の内容を自らホゴにして、最近の報道に見るように鳥取駅周辺の振興ばかりに力を入れていて良いはずはない。現本庁舎跡地は人を集めるには絶好の位置にあり、これを生かさないのは実にもったいない話なのである。

 そもそも、上の(2)で説明したように、白兎設計の耐震診断結果には、その信憑性に対する重大な疑問点が数多くある。市の公式サイトを見ると、「・・阪神淡路大震災が発生した翌年の平成8年に本庁舎と第2庁舎の耐震診断を行い、震度5程度で中破(柱などがひび割れる)以上の被害が想定されるとの結果がでた・・」とあるが、2016/10/21に発生した鳥取県中部地震では、鳥取市吉方などの旧市内でも震度5弱のゆれを経験したものの、現本庁舎、第二庁舎ともに窓ガラス一枚すら割れてはいないのである。この平成8年(1996年)の耐震診断を受注したのも白兎設計なのだろうか? 本庁舎の実際の耐震性が、2008年の白兎設計による耐震診断結果よりもはるかに良好である可能性は高い。

 本庁舎新築移転に賛成した議員の多くが、今になってから急に「一刻も早い解体」を主張し始めたのは、「現本庁舎を残しておいて将来の大地震で壊れなかったら、新築移転した理由の説明がつかなくなるからではないか」とのうがった見方さえも招きかねないのである。
/以上



  鳥取市の人口推移を近隣の他市と比較してみました。(2018.12.14)

 (1)近隣の他市との比較
 ある都市の盛衰をはっきりと表す指標として、その都市の人口の増減以上に明確な指標はないでしょう。人口が急激に減っている都市を発展している街とは到底呼べないでしょう。我が鳥取市は周辺の他の都市に比べて勢いがあるのか、それとも無いのか?最近の人口の推移を他の都市と比較することで、その実態が見えてきました。

 高齢化と人口減少が続く現在の日本では、人口の少ない過疎の自治体から大きな都市へと住民が流出する傾向が一般的です。鳥取市と同じ程度の人口規模を持つ都市と比較してみなければ、その盛衰の優劣は見えてきません。また、首都圏や関西圏などの大都市の近郊の中小都市では、大都市からの地理的距離によってその人口推移が大きく影響されます。このため、比較する都市として、以下の二つの条件を満たす都市を選びました。
①西日本の日本海側にあって、関西圏からある程度の距離があること。
②人口約19万人の鳥取市と人口規模が大差のない、人口14~30万人の都市であること。

 下の表に、鳥取市と今回比較対象とした五つの市の2000年以降の四回の国勢調査の結果、及び直近の数字として2018年の10月末、又は11月初め時点での各都市の住民登録人口を示します。国勢調査とは、実施年の10月1日時点でその自治体に三カ月以上居住している住民の数を数えるものであり、住民登録の有無は問いません。一方、登録人口はその時点での各自治体に住民として登録されている人口の総数であり、その自治体内に居住している実態が無い人も含まれます。国勢調査結果と登録人口の差は自治体によっても、また調査時点によってもプラスにもマイナスにもなります。下の表の規模の自治体の場合には、大きい場合には二、三千人規模の差が生じているようです。なお、国勢調査結果には、三カ月以上居住している外国人の人数も含まれています。また登録人口でも、現在は住民登録済の外国人の数を含んでいます。
 
 上の表を2000年の人口を100としてグラフ化したものを下に示します。2018年については、それ以前とは集計条件が異なっているため、点線でつないで表しています。

 

 比較した六つの都市の中では、鳥取市の人口減少率が最も大きいことが判ります。ピークの2005年に対して現在は約7%近い減少率であり、鳥取市の元気の無さがひときわ際立っています。以下、参考のために他の都市についても見ておきましょう。

 一番目立つのは、出雲市の2018年の登録人口が2015年の国勢調査結果に比べて大きく増加している点です。出雲市の公式サイトには居住外国人の数も掲載されているのですが、それによるとこの間に外国人が2千人以上増加、現在は約17万5千人の人口のうち約4600人が外国人。外国人の約四分の三がブラジル人とのこと。出雲市には約四千人の従業員を抱える出雲村田製作所を筆頭に島根富士通など多くの企業が集積しており、外国人の大半がこれらの企業に最近勤務し始めたものと推測されます。各社とも業績は好調を維持しているようです。

 今どきの地方都市には珍しく、ずっと人口横ばいを維持している米子市も要注目です。数千人規模の従業員を抱える大きな事業所はありませんが、昔から山陽から山陰地方への流通拠点となっている街であり、寿製菓などの食品関連企業が元気です。数十年後には、鳥取市は人口規模で米子市にも抜かれるのではないでしょうか?

 意外と言っては失礼ですが、山口市も健闘しています。市内には大きな事業所は無いものの、以前から流通業と観光が好調で昨年の観光客数は483万人を記録しているそうです。

 (2)合併した旧町村別の人口減少率
 鳥取市内の各地区が一様に人口減少しているわけではありません。市の公式サイトには市内各地区別の世帯数・登録人口数の推移が公開されているので、それから合併した2004年11月以降現在までの旧町村別人口推移をグラフ化してみました。なお、登録人口としては、2005, 2010, 2015, 2018の各年の10月末時点での数字を採用しています(2004年については11月末時点の数字)。
 
 まず目立つのは、旧佐治村の人口減少速度があまりにも急激であることです。合併してからの14年間に、実に合併前人口の約1/3が失われてしまいました。次いで旧青谷町でも合併前人口の1/4以上が既に失われています。

 一方で、旧国府町は一時的には唯一増加傾向を示しました。これは同町域の西端部が既に鳥取市街地と一体化していたためですが、最近は三洋電機消滅の影響もあり減少に転じています。

 旧気高郡三町の中では旧気高町だけが減少率がゆるやかです。旧鹿野町や旧青谷町から交通の比較的便利なJR浜村駅と国道9号線の間の新興住宅地に引っ越してくる人が多いと言われてきましたが、このグラフはその傾向を裏付けているようです。

 旧鳥取市域に限れば、合併後の減少率は2.6%にとどまっています。この数字自体、他の多くの近隣都市に比べても劣る数字なのですが、それでも「市全体の減少率が大きいのは、合併した旧町村がよけいに足を引っ張っているせいだ。」と言う人がいるのかもしれません。しかし、合併したことによって旧町村での自治や交通手段等のインフラが失われ、その結果として住みにくくなった旧町村から旧鳥取市域への流入が余計に加速しているのも事実でしょう。そもそも、平成の大合併を強力に推進したのは先の参院選で落選した竹内前市長、さらに当時すでに市の幹部であった深沢現市長です。「鳥取市と一緒になれば大いに発展できる」と甘い言葉で誘っておきながら、合併後は新市域の権限も人員も取り上げて衰退するままに放置したのは彼ら自身なのです。

 (3)鳥取市衰退の原因はこの間の市政の方向性
 先月、青谷町で何人かの方と話す機会がありました。2004年の鳥取市との合併の際には多くの町民が合併に反対したが、当時の町長は「合併することで青谷町は鳥取市の西の玄関口として発展できる」と主張、強引に合併を推進したそうです。この言葉は、当時の鳥取市長であった竹内功元市長の主張の受け売りに過ぎません。合併後の旧町役場は市役所総合支所へと衣替えしましたが、現在の配置職員は十数名に過ぎず、支所の中は空き部屋だらけ。ほとんどの職員は三年も経てば町外に異動してしまうので、「支所に行っても顔を知っている職員が一人もいない」そうです。支所長が自由に使える予算が一件につき数万円どまりの現状では、支所独自の事業などできるはずもありません。

 先週NHKの夕方のローカルニュースを見ていたら、智頭町の百人委員会開催の模様が紹介されていました。町政に関わりたい町民が自発的に参加して町を発展させるためのアイデアをこの委員会に持ち寄り、これを町長を含む行政側が評価して予算を付けるかどうかを審議するというものでした。自治体であれば当然のようにできるこのような地域活性化の取り組みが、合併してしまった青谷町や佐治町では今では全く不可能になっているのです。その結果、先日の青谷町で聞いたのは、「もうこの地域はどうしようもない」というあきらめの言葉ばかりでした。このあきらめ気分の蔓延が、上のグラフに見るような急速な人口減少を生んでいるのです。

 さて、青谷町に行ったついでに「青谷上寺地遺跡展示館」にも入ってみました。内部に入ったのは初めてでしたが、いかにも狭い。ちょうど県外からの団体客二十数名が係りの方の解説に熱心に聞き入っていましたが、展示物も少なく、これでは30分もしないうちに一回りしてしまうのではないかと思いました。建物の外観もプレハブのような小さな平屋で、なんともみすぼらしい。弥生時代の遺跡としては国内最良の保存状態との評価を得ている貴重な発掘資料の展示場なのに、こんな状態では情けないと言うほかはない。

 高齢化と人口減少によって地元の購買力が低下する一方の鳥取市では、市外からの観光客の需要に期待するしかないのだが、上の例に見るように観光に対する取り組みも実に中途半端です。青谷町の例で言えば、ほかにも支所の敷地に隣接して「あおや郷土館」があり、ジオパーク関連の資料などを展示しているのだが、一度訪れてみたら、土曜日の午後にも関わらず筆者のほかには一人も入館者がいなかった。上寺地遺跡の展示館をこのそばに建てていれば、もっと入館者は増えていたはず。小さな施設をあちこちに分散して配置していても訪問者は増えず、ほとんど誰にも知られないままに閉鎖の憂き目を見ることになる。施設を一か所にまとめ数時間かけて見て回るくらいの展示ボリュームを確保していれば、集客能力も高まり、飲食を提供しようとする民間業者も出てくるかもしれません。
  もう一つ例を挙げましょう。鳥取砂丘にある、あの「砂の美術館」の内装です。左の写真に示すように、この美術館の天井は何年たっても鉄骨がむき出しのまま。まるで体育館か倒産した廃工場の中に、急ごしらえで砂像を並べただけの臨時の展示場のように見えます。

 美術館とは、日常から切り離されて夢の世界にひと時なりとも遊ぶことを可能にする場所であるはずなのに、この鉄骨むき出しの天井を見るたびに現実世界に引き戻されて興醒めしてしまう。いくら砂像が精緻を極めていても、その背景がこれでは、ここで撮った写真をSNSに上げて自慢する気にはならないでしょう。この醜い天井こそが、せっかく作った砂の美術館の入館者数が、近年は毎年過去最低を更新し続ける一大要因となっているはずです。

 開館してから何年も経つのに、市職員からも市議からもこの天井に関する改善の提案が一向に出てこないのは、いったいどういうわけでしょうか?市長以下、「観光振興に全力で取り組みます」と口癖のようにしょっちゅう言っているのですが、例によって口先だけのことなのか?

 完成しても一円も稼げないどころか、逆にその巨額建設費用のツケを水道料金の値上げなどを通じて市民から取り立てようとしている市庁舎新築に約百億円もかける一方で、観光客を呼び込み需要を増やすための目玉であるはずの美術館の天井を張る費用(たぶん数千万円程度)すら惜しむ今の鳥取市政。税金の使い方を間違えているというほかはない。

/以上


四年間の深沢市政の内容を点検!(2018.2.16)

 四年に一度の鳥取市長選挙が来月3/18告示、3/25(日)投票の日程で行われる予定です。当会では四年間の深澤市政を振り返って、その内容を政策ごとに点検してみました。是非ご一読ください。

(1)竹内前市長が推進してきた「巨大ハコモノ建設事業」を忠実に実行

①「市庁舎新築移転」
 ‘14年/4月の市長就任から六か月後の’14年/10月、深澤市長は旧市立病院跡地への市庁舎移転に関する位置条例を市議会に提出。いったん否決されたものの二か月後に再び上程。この間に行われた市会議員選挙時の公約を捨てて新築移転に転向した某議員の協力を得て、ようやく位置条例を可決した。
 その約半年後には、位置条例可決前に示していた約66億円の新庁舎建設費が五割増しの約98億円に増えると訂正し再公表。結果として、’12年/5月に実施された住民投票で多数の市民が支持した現本庁舎の耐震改修案に比べて、はるかに高額の市庁舎整備費用となってしまった。

②「河原町に建設予定の可燃物処理施設新築事業」
 この可燃物処理施設新築は県東部一市四町からなる東部広域行政管理組合の担当事業であるが、人口の大部分を鳥取市が占めていることもあり、新築される施設建設工事費の約85%を市が負担することが既に決定済み。

  ‘16年/11月に河原町国英地区全集落と協定を締結して、同地での新築事業が決定。現時点では既に施設建設と施設運営業務委託に関する入札公告済みであり、今年四月に入札を実施予定。受注業者決定後、約一年間の実施設計を経て’19年夏ごろから建設開始の見込み。現在、約6.9億円の費用をかけた敷地造成工事が既に始まっている。

  この新施設関連の入札予定価格だが、施設建設工事費が193.7億円、2020年に運転開始後20年間の運営業務委託費が131.8億円と極めて巨額である。しかも、同施設の用地は地元からの借地であり、建設して30年後には施設を解体し更地にして地元へ返却する協定内容となっている。従って単年度当たりの費用で比較すれば、市庁舎新築移転費用よりも格段に巨額の負担となる。 上記の市庁舎新築事業と比較する形で、今後の鳥取市民の負担額を推定してみよう。処理施設の運営費は20年となっているが、運転開始20年後に運営費については再度入札し直す予定と思われる。
 なお、鳥取市新庁舎の費用については、’15年/5月に市が公表した「みんなでつくるとっとり市庁舎の考え方」に記載された数字をそのまま引用している。
 
(注1): 東部広域組合に確認したところ、建設費のうち約1/3が国の補助金であり約2/3が地元負担。地元負担の85%が鳥取市の負担。地元負担の建設費の一部については’20年/3月末が期限の国の制度の合併特例債が適用されるとのことだが、この期限までに完成する建物は全体のごく一部にとどまるものと予想される。なお、計算を簡単にするために建設費負担分の借入金利率は0%とした。普通の金融機関の利率がゼロにはなることはないので、実際には利息分が上乗せされる。金融機関から借りた建設費の償還期間は30年と仮定して計算した。
(注2):運営費については市の負担割合はまだ決まっていないとのことだが、建設費と同じ85%と仮定して計算した。
(注3):建設費として金融機関から借入れた分の七割が合併特例債として後で国から補助されるものと仮定して計算している。借入分は元利均等30年償還、利率0.85%で計算。

 上の概算に見るように、この可燃物処理施設の単年度当たりの負担は、過去に大きな問題になった市庁舎新築事業のほぼ二倍に達する。ただでさえ厳しい鳥取市の財政に対する更なる圧迫要因となることは間違いない。さらに30年後には解体費用と、さらに別の場所に処理場を新設する費用が再び発生する。

  細かい内容を見ると、新設する施設の可燃ゴミ処理能力として240ton/日を予定しているが、’16年度の東部地区の可燃ゴミ処理量の実績値平均は157ton/日であり、新施設の予定処理能力の65%でしかない。人口減少に伴って、県東部地域のゴミ排出量が今後さらに減少することは確実である。建設予定の施設の完成後、すぐに施設能力が過剰となる可能性はかなり高いのではないだろうか?東部広域組合と深澤市長には、四月の入札実施と業者決定の前に、新施設の240ton/日の処理能力の妥当性の根拠を鳥取市と周辺自治体の全住民に対して詳しく説明する責任がある。

 さらに問題なのは、これほどの巨額事業であるにもかかわらず、市民に対する情報提供がほとんど皆無なことである。巨額事業費の算出根拠の説明自体、どこにも見当たらない。上に説明した入札情報等は東部広域行政管理組合のホームページで閲覧することができるが、そもそも市の公式ホームページには、この東部広域組合へのリンク入口自体が存在していない。情報を市民には極力与える事なく、既に決定済みの段階まで持って行ってから、後で負担だけを市民に押し付けようとする姿勢が見え隠れするのである。
 ついでに付け加えれば、この施設の導入を提言した「可燃物処理施設整備検討委員会」の委員長は、竹内前市長と一緒になって市庁舎新築移転を一貫して推進して来て、市の巨額公共事業の審議会にはどこにでも顔を出すことで有名な、あの道上正規鳥取大名誉教授が務めている。

(2)公共料金の大幅値上げを次々に実施

① 「’18年/4月から水道料金大幅値上げ」
  昨年九月の定例市議会で平均18.4%、管径13mmで月に20m3使用の一般標準家庭では25%もの大幅な上水道料金の値上げ案が可決された。今回の値上げの特徴は使用水量の少ない少人数の家庭ほど値上げ率が極めて大きいことである。空家の所有者等、市と水道契約しているだけで使用量ゼロの基本料金のみを払っている世帯での値上げ率は実に83%にも達する。

 今回の値上げの背景に関する市の説明は極めて不十分なものであり、市議会で値上げが決定してから初めて市民説明会を開いて市報で値上げ決定を知らせると言う一方的な説明でしかなく、事前に市民の意見を聞こうとする姿勢は全く見られなかった。当会では昨年9月にこの料金値上げ案に関する公開質問状を市長に提出して情報提供の不足を指摘したが、深澤市長からの回答は「水道局のホームページで既に十分に説明している」というものであった。わざわざ鳥取市の水道局のサイトを訪問する一般の鳥取市民が水道関係の業者以外に月に何人いるのだろうか?上に述べた東部広域組合のサイトと同様に、現在、水道局のサイトは鳥取市の公式サイトからは直接には訪問できないようになっているのである。

  そもそも、現在の水道事業会計悪化の根本原因が、実際の需用量を大幅に超えた過剰能力の江山浄水場建設着手、及び高価なろ過方式採用の強行等、前代と前々代の二代の市長による過去の過剰なハコモノ投資に由来することは明らかである。しかし、当会提出の公開質問状に対する回答内容に見られるように、深澤市長には過去の市政方針の誤りに対する反省が全く見られない。また、一般会計から水道事業会計への補助を増額すれば今回の値上げ幅は圧縮できたのだが、深澤市長は昨年9月市議会でその方向性を拒否している。こんなことでは、鳥取市民は過去の間違った市政の負の遺産のツケ払いを、これからも次々に背負わされることになりかねない。
 今回の値上げ内容は今年四月から五年間の期間となっているが、水道局幹部の現時点での答弁内容によれば、五年後にはさらに値上げが必要だろうとの見解が含まれているように見える。今の隠ぺい体質の市政のままでは、市民の了解を得ないで再び大幅な値上げを決められてしまうおそれがある。

② 「下水道料金値上げ 」
 ‘16年/7月には下水道料金が平均で14.6%の値上げ済み。月使用量10m3では24.4%、20m3では13.8%もの値上げ率であった。この料金制度は今年の’18年度が最終年度であり、今年から下水道事業審議会で’19年度以降の料金についての審議が再び始まる。来年から更に値上げとなる可能性は高い。

③ 「介護保険料値上げ 」
 ‘15年度に介護保険料は16.7%の値上げとなった。現在、今年’18年度から三年間の介護保険料について審議中であるが、市からはさらに4.4%値上げ予定との方針が示されている。一般会計から介護保険会計への支援は可能であり値上げ幅を圧縮できるにも関わらず、深澤市長はこの支援に同意していない


(3)鳥取市の「街づくり方針」は混迷化

① 「旧市街地の「街づくり構想」は今、いずこ?」
 西尾迢富元市長時代には、旧市街地に関する「二核二軸構想」(県庁・市役所周辺と鳥取駅周辺を二核、若桜街道と智頭街道を二軸として旧市街活性化を図る)が打ち出されていた。当時、現市庁舎の横にある市民会館を旧市立病院跡地に移して、その跡地に新市庁舎を建て替える計画があった。しかし、竹内前市長の代になってからは、旧ダイエー建物の購入と駅南庁舎への転用、市庁舎の駅南地区への新築移転等々、この構想に相反する計画が場当たり的に次々に提案されて実行に移された。その結果、現在の鳥取市には、旧市街地をどのように発展させていくのかという構想が存在しない状況となってしまった。

 最近の県立美術館の移転問題に関して深澤市政が何ら明確な方針を打ち出せなかったのも、この街づくり構想の混迷の必然的結果であろう。そもそも、新市庁舎が建設されることになった旧市立病院跡地こそが、交通アクセスと集客力の観点から見て、現市民会館のような老朽化した既存文化施設、さらには県立美術館の移転先としては絶好の位置にあったと言うのが、市内の多くの文化関係者の見解なのである。鳥取市が何ら方針を打ち出せずに事態を傍観しているうちに、倉吉市への県立美術館の新設が決まってしまったのである。

  さらに、移転が決まった現市庁舎跡地の利用方法についても、地元自治会の再三の要請にも関わらず、深澤市長は積極的に利用案を示すことも無く、地元との具体的な協議に入ろうとする姿勢も見られない。むしろ、地元からの協議要請を避けて逃げ回っているようにすら見えるのである。

② 「中山間地、合併した新市域(旧町村)の衰退と市民サービス低下 」
 当サイトの先日の記事でも指摘したが、平成の大合併で誕生した新市域に配置している市職員数が、現在は合併直後の約半分にまで激減している。市職員が減れば当然、行政の市民サービスも低下するばかりである。これも、巨額のハコモノ建設には税金を投資する一方で市民サービスに回すカネは極力削ろうとする過去の鳥取市政の流れを、深澤市政も継承していることの一例にほかならない。

 また、市は国や県とともに高齢者の運転免許返納運動を推進しているが、新市域にとどまらず鳥取市内のほとんどの地域では、自家用車以外には交通手段がない。免許を返納した高齢者からは「病院に通うのも大変」との声が聞こえてくる。代替となる交通手段は十分に提供できているのだろうか。

 さらに、鳥取市は一昨年に「立地適正化計画案」を公表したが、この中で、市は将来的な転居集約先として「居住誘導区域」なるものを設定している。しかし、この居住誘導区域は今のところ旧鳥取市内のみに限定されており、新市域内には皆無である。市は「新市域内への転居は止めてくれ」と言いたいのだろうか?過疎化に一層の拍車をかけるだけの計画なのではないか。

③ 「中核市移行」
 今年の4月/1日より中核市に移行する予定だが、保健所を始めとして二千数百件にも及ぶ業務の県からの引き継ぎに際して、その財源ははたして十分に確保できているのだろうか?以前からこの点については再三指摘されているにも関わらず、未だに深澤市長からは具体的な費用金額を含んだ説明はない。中核市に移行したために一般会計の財源が食われて従来事業の縮小を招くようでは、「名前だけの中核市移行」を祝うどころの話ではない。 

  さらに、当面は県から一時的に人材を借用するとしても、保健所には不可欠な医師と看護師という専門性を要する人材を鳥取市が将来的に確保できる見込みはあるのだろうか?市立病院の医師確保にさえも苦労しているのが鳥取市の現状なのである。


(4)雇用確保の実態は?

① 「鳥取三洋跡地への誘致企業の現状」
 鳥取市は県と共に巨額の税金を投入して南吉方の三洋跡地を取得、工場と生産設備まで税金で購入し貸し与えてまでして岡山資本の製菓会社を誘致した。同じ跡地に新設されたインド資本の製薬会社とともに既に生産を開始しているが、これらの企業誘致の成果はどうなったのか?
 いずれも生産工場であり、雇用が不安定な非正規社員としての採用が大半なのではないだろうか?納税者である我々市民は、巨額の優遇処置に踏み切った鳥取市を経由して言わばこれらの会社の株主に相当するのだから、深澤市長には巨額の税金投資の結果(雇用効果、税収効果)について市民に公表する義務があるはずだ。

② 「鳥取市は「官製ワーキングプア」を全国一?の規模で量産中 」
 当サイトでも先日とりあげたが、鳥取市の全職員中に占める非正規職員の割合は、今年度ついに五割を超えた。次の記事を見ると、全国各地の自治体でも非正規職員の割合が増加中だが、その割合は全国平均で全職員の約二割でしかない。非正規職員の割合が五割を超えた鳥取市のような自治体が国内でほかにあるだろうか?鳥取市はこの方面では日本の最先端を走っているのである。 「増大する自治体の官製ワーキングプア

 官製婚活や少子化対策、子育てに力を入れると毎日のように言いながら、自分の足元では、結婚・出産や子育てをするには到底収入が足りない職員を年々増やし続けている深澤市長。市民の皆さんはどう考えますか?


 (5)市長の市政に対する取組み方

① 「批判からは一貫して逃げの姿勢ばかり」
 深澤市長の就任後、当会は主に市庁舎新築移転問題で何度か市長に面会を申し入れたが、ことごとく拒否された。副市長であった深澤氏を後継者に指名した前市長の竹内氏でさえ、圧倒的な批判が事前に予想された集会にも自ら出席し、その内容はともかくとして自らの言葉でていねいな説明を試みていた。市庁舎問題が紛糾した時期には、竹内氏みずからマイクを取って街頭で演説もしていた。
  市幹部職員OBから聞いた話だが、とかく利益誘導の噂があって評判が良いとは言えなかった西尾迢富元市長も、会いたいという市民がいれば自ら進んで誰にでも会っていたそうである。これらの前任者に比較すれば、深澤市長の「逃げの姿勢」は際立っている。事務方やマスコミが設定した、自分に対する批判が少ないと予想される会合にだけ出席しようとする姿勢、市民との接触を最小限に抑えようとする姿勢が深澤市長には鮮明である。

  元々、自治体の首長が全ての住民から100%支持されることなど、到底ありえないことである。なるべく多くの住民の話を聞き、住民の中で相反する利害の調整役を積極的に引き受けることこそが自治体首長の本来の職務であろう。市長室に引きこもり、批判を恐れて逃げてばかりいる深澤市長の姿勢を見るたびに、鳥取市民としては残念というほかはない。

② 「新しい取り組みもすぐに腰砕け? 」
 深澤市長の就任一年目には、多くはないものの新しい取り組みがいくつかは見られた。当時、市が大きくPRしていたのは、若手市職員を集めて政策アイデアを出させるという取組であった。下にその政策提言の概要を示す。市長に就任して約半年後の’14年/11月に公表された資料である。
鳥取市若手職員による政策提案競争 提案採択の内訳(PDF)」  

 全部で22件もの提案が採択されたが、それから既に三年以上たった現在、実行に移された政策はいくつあるのだろうか?ほとんど何も実現していないのではないだろうか。ざっと見た限りでは、「株式会社運営保育園の誘致」は確かに実現しているが、これは民間会社の自主的な活動によるものであり行政の努力の結果とは言えないだろう。

  これらの提案のうち婚活に関係する提案が4件もあるが、その流れの中であの「公務員専用婚活炎上事件」が発生した。女性がなかなか集まらないので男性参加者を公務員に限定したら、とたんに女性応募者が殺到したそうである。「鳥取市の“公務員限定”婚活イベントが苦情殺到で中止に!」。役所の中に閉じこもっている正規職の公務員だけを集めて議論しているから、こういう発想になるのである。非正規職公務員や民間の人間も交えて議論していれば、もっと別の方向に進んでいただろう。

  この深澤市長就任一年目の夏には、鳥取市教育委員会が引き起こした例の「カツエさんイラスト騒動」も勃発した。全国ニュース級の炎上が続いたせいか、就任二年目からは若手職員の活動もすっかりおとなしくなってしまったように見える。少々の批判をはねのけて自己主張を続けるくらいの強さがないと何事も実現しないと思うのだが、深澤市長や若手市職員にその強さや気力を期待するのはムリなようだ。


(6)まとめ  

 以上、四年間の深澤市政の個別の政策ごとに検証してきたが、全体的に共通する傾向は以下の点である。

① 「市民に対する市政の情報公開が圧倒的に不足している。」
 この点については、竹内前市政よりも今の深澤市政の方がさらに悪化しているように見える。今年四月からの水道料金大幅値上げの経過などが典型例だろう。値上げが決定してから初めて、数少ない場所で市民説明会を開くという形だけの全く無意味な説明会であった。

② 「特定の人物を市民代表として各種委員会に配置し行政の望みどおりの答申を得て、それを与党が多数を占める市議会に上程して速やかに通すというパターンが、今の鳥取市の政策決定過程の大半を占めている。」
  その典型例が、上に述べた道上鳥大名誉教授や松原鳥大元教授である。市長の要請に応じて、彼らは各種の委員会の委員長を何度もつとめて来た。今春の水道料金の大幅値上げを答申した水道事業審議会の委員長は松原元教授であったが、この委員会の委員17名のうち公募委員はたったの2名。残りの委員の大半は市長に任命されていくつもの委員会の委員を順繰りに務めてきた、いわば「市長お気に入りの市民代表」ばかりなのである。鳥取市の条例によれば、各委員会の委員の選定も委員の数も、市長の思いのままなのである。

③ 「市議会与党議員はあまりにも不勉強。」
 市議会を傍聴すると、野党議員に比べて与党議員の一般質問には行政知識の不足が目立つ。国の制度や市の行政内容を十分に知らないままに、具体的な財源の数字も確認することなしに市長案を鵜呑みにして賛成し続けている。この四年間、主要な政策について市議会与党(主に会派新生と公明党)が市長案に反対したことは皆無であった。

  市長の出してくる政策を市民の目線に立ってチェックする役割が議員に期待されているからこそ、一般よりも優遇された市会議員としての報酬(年間100日程度の議会出席義務で年収約800万円、副業は自由)を受け取っているのである。政策の中身もよく知らないままに市長の出してくる政策にただ賛成し続けているのであれば、この報酬を受け取る資格は全く無い。与党議員の大半は、なぜ自分が水道料金の値上げに賛成したのかについての説明を、自分の支持者に対して全くしていないだろう。それで市民の代表と言えるのか?

 与党議員を見ていると、彼らの大半は他の仕事をするよりも高額な報酬を得られるから、勉強しないで単に議員の椅子にすわっているだけでも務まるから与党側の市会議員になったのではないか?結局、市民の代表と言うよりも再就職先として市会議員を選んだだけではないのかと勘繰りたくもなるのである。


 (7)当会からのお願い

 当会の元々の設立趣旨は、会の名称そのままに「市民に開かれた市政の実現」です。政策内容はともかくとして、その政策を市民が十分に議論するための前提条件として、市政に関する情報公開を強く求めるものです。この観点から見れば、市政に関する情報を隠ぺいする傾向が顕著な現在の深澤市政には強い不満を抱かざるを得ません。現時点での立候補表明は深澤市長一人に留まっていますが、上の記事を参考として投票日には投票所に足を運んでいただければ幸いです。

 最後に、上の記事内容に関する賛否がどうあれ、あまり関心を持てない選挙であっても、投票を棄権することだけは止めましょう。私たちの権利である選挙と言う数年に一度しかない意志表示の場を放棄し続ければ、鳥取市の行政内容は一部の人たちだけの思惑でますます勝手に決められるようになり、私たちの望むところからさらに離れて行ってしまいます。私たちは自分たちの生活と将来世代のために、人任せではなく自分たちの手で、この街を今よりも住みよくしていかなければなりません。
 みんなで、投票に行きましょう!!!

/以上


 「開かれた市政をつくる市民の会」連絡先        mail: mailto@sustainabletori.com
 住所:〒680-0051 鳥取市若桜町39       電話:090-8247-5488